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2014.06.05
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カテゴリ:一応正当日記風

いきなりまた話を飛ばして申し訳ないんですが、

母と上野の法隆寺展に行ってきました。

 

琵琶湖観音も話半分なのに、もうそっちを放り出して法隆寺かよ、と言われそうだが、

そうじゃないんです。 

で、今回はホトケ話じゃないのです。

 

上野に行くには当然電車に乗る。 

母と、というより脚骨折後の母と出歩くようになってから、駅のどこにエレベーターがあるとか、

こっち側の階段には昇りエスカレーターしかない(一部老人にとっては、下りのほうが階段はきつい)とか、

それまで気にしてなかったことに気を留めるようになった。

 

親切第一の日本の交通機関は、ホームの乗車口目印にくわえて、

「ここに乗ると優先席が近いです」位置も、ちゃんと記してくれている。

けれども今日はそれをうっかり忘れて、乗る寸前に「しまった、ここ優先席じゃない」と気づいた。

「いいよどこでも」と母。

いや、アナタがよくても、周りの人が困るんです… 

前に立たれると、暗黙のうちのプレッシャーなんだよね。座ってる人は考えます。(譲ろうかな、どうしようかな)(立って断られたらどうしようかな)(この人いくつくらいだろう、実はこう見えて若かったりして)…(眠ったふりがいいか)(オレだって疲れてるんだしな) … 思いは千々に乱れ、眠ろうとしても眠れない。

 

ラッシュ時間より本数が減る分、朝9時台の電車はわりと混む。しかも来たのは10両編成(東京の私鉄や地下鉄に慣れてる人の中には驚く人も多いが、東海道線は15両編成が普通です)。

やっぱり結構混んでいた。

とはいえ次が乗り継ぎ駅なので、次で座れる期待値は高い(ただし座れなかった場合、がっくり度もそれだけ高くなる)。

まあとりあえず次までは我慢してもらおう。

そしてとりあえず母の立ち位置確保。

横一線並びの座席パターン。近頃は東海道線もこの形の方が多い(これまた東京の人は驚く/喜ぶが、東海道線には向かい合わせ4人がけボックス席もあります。このほうが窓から外が眺められて良い。って、そんなの今や私くらいか)。 

この横一線の場合、座席の中途にある棒というかポールというか手すり棒(?)の方が年配者には楽。下手すると吊り革に手を伸ばしてるだけで疲れちゃうんで。

「ここ、つかまっててー」と母を立たせたその前に、でかいマスクをした若者が座っていた。

その若者が、私の声が届いた瞬間、と言っていいほどの速さで、腰を上げたのである。

顔半分覆ったマスクのため何を言ったか(言わなかったか)不明ながら、その動きだけで、席を譲ってくれてることは明らか。

なんと、乗ったとたんに席を譲られるとは!

 

母、珍しく遠慮。若者は中腰から少し腰を伸ばした状態で行き詰まる。

譲ろうとして辞退されたときの困った気分を、私はよく知っている。でも立っちゃったんですから、って。なんか引っ込みつかないし、だからといってしつこく「どうぞどうぞ」というのもどうかな、ってなるし。むなしくまた座っちゃったことが一度ならずある。(これからはもう知らんぷりしちゃおうかな)と思わないでもなかった。

なもんで、折角の厚意は受けさせようと、「座らせてもらったら」と言った。

母、座る。若者、そのまま母の前に立つ。

 

次の駅に到着。

母の両隣が立ちあがった。

 

え。

いくら期待値高い駅でも、ここまでごっそり入れ替わるかい。

  

ここは当然、彼が再び座るべきだろう。

母と私は、どうぞ、と促した。

若者に近い側の席には、これまた当然、正面に立ってた人がなんも気兼ねなく腰をおろしている。 

 

いえ、どうぞ。

と、若者。

…まあ、言わざるを得ないかもしれないけど。

おばさんに席を譲られる若者、っていう図は、ね…

 

・・・・

 

座りました私。

 

若者が次で降りてくれることを祈る。

 

困ったので下を向いていた。

これって、立ってる老人に気づかないフリ体勢のようだが。。

 

若者の足元が視界に入る。ベージュのスェードブーツ。学生だろうか。

 

次の駅でも若者はおりなかった。

私の隣に座ってた人がおりた。

若者の隣に立ってた人が座った。

 

若者、私と母の前に立ってたら、ずっと座れないんだってば。

(東京の人用に念のため言っておくと、東海道線というのは駅と駅の間が長いのです。最後の新橋ー東京駅区間が最短。あとは10分以上も普通です。以前東京の子と乗ったとき、「これ急行?」って言われたことがあるが、フツーです) 

 

こんな日も珍しい。やたらに人が入れ替わるのだ。

私の隣も、そのまた隣も、何度か変わった。 

定位置、私と母と、若者。

 

困った。

 

若者も内心、(みんなこんなすぐに降りるなら座ってりゃよかった)と思ってたかもしれない。

結局若者は品川で降りていった。言い換えると、品川までずっと座れなかった。

母は慌てて礼を言う。私より素早い、珍しい。

 

降りたドアのすぐそばが階段だったので、若者が上っていく姿が見えた。

もしかしたら試験だったのかなあ。今日これから試験かなあ。勉強したかったんじゃないのかなあ。

申し訳ない。

 

だけどほんとにありがとうございました。

おかげで母は元気です。

この日はホームに降りたら目の前にエスカレーターだったりエレベーターだったり、

とにかくラッキーな日でありました。

 

アンラッキーだったのは私である。

あろうことか、喫茶店でコップを割った。こっぱみじんに割った。

これまた、そうそうないことである。つーか、お店のグラス割るなんて初めてだぞ。

あまりに綺麗に割れたので、氷入ってたんだっけ、と思ったくらいである。

私が「きゃっ」とか叫んだので(こういう時だけ高い声が出る)

バイトらしき店員が出てきた。

これまた若者。

料理を運んできたのもこの若者だった。「ご注文の品はおそろいでしょうか。ごゆっくりどうぞ」

と無表情なまま口にして去っていったが、

出てきた時も無表情であった。「大丈夫です、こちらでやりますので」

これもマニュアルにあるのかもしれないが、

「お怪我はありませんでしたか」と言ってくれた。

あの電車の若者から感じられた気持ちの良さは匂わせないにしろ、

むっとした顔でもない。

たぶんそもそもがこういう人なんだろう。 

すみません。ひたすら謝るおばさんであった。 

 

情けない。

親子揃って若者に迷惑をかける私らでありました。

 

ありがとう若者。

そうです。日本の若者って実は偉いんだよ。

 

そう、余計な恥まで書いてしまったが、

何よりあの電車の若者にお礼を言いたかったのです。

いや言っても届かないんだけどさ。何か感じると思うのよね。

きっといいことあるよ。

(無表情の彼にも…) 

頑張れ若者。 

 

 

  






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Last updated  2014.06.09 14:27:49
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