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カテゴリ:スポーツ・運動
今年のABの成績はすこぶって良いものだった。プレイヤーも粒ぞろい、チーム内の若手、ベテランプレイヤー共に充実していてバランスが取れていたし、何よりもチームとしてとてもよく機能していたと思う。 ヘンリー監督の意向で、若手にはいろいろと経験をさせて出来る限りの一箇所だけにあらず、あらゆるポジションでのプレーの可能性を開かせるスタンスはとてもよかったと思うし、国際試合などテストマッチに経験を積ませると同時にベテランを程よく混ぜてコンビネーションの調整を図ったり、また現役選手の中で過去のAB経験者のプレイヤーを復帰させたりと引き出しの多さというかプレイヤーがバラエティーに富んでいて、今のNZが出しえる最強のABを作った気がする。そのセレクションの反映でもある今年の試合成績は非常に納得がいくものとなった。 そして多少荒削りなところがあれど、若手がいい感じで自信をつけ、まだ次期ワールドカップまでに2年という歳月でもって育てられる状況もなかなか好ましい。 もちろんあまりの好状況ぶりに、選手の調整がワールドカップを前に時期早熟なのではと囁かれてはいるのだが。 こういった状況の中で一つの問題として考えなければいけない事がある。 チームの長として統率力を発揮した、タナ・ウマガ。 彼は昨シーズンからABの歴史上初のパシフィックアイランダー(彼はサモア人)のキャプテンとしてヘンリー監督から抜擢された。自分と同い年だけに個人的な思い入れも一杯なのだが、ジョナー・ロムが病気で不調になったことから、97年の対フィージー戦に烈火の如く逞しいウイングとして選抜されたのが始めだった。 その後(00’年?)本人の意向でセンターにポジションチェンジをしたわけだが、これはかなり上手くはまって自分の知っている中ではジョー“スモーキン”スタンレー、フランク・バンスに並んでAB歴代でも素晴らしいセンターだと思う。 こなした国際試合の数はグランドスラム最終戦まで合計74テスト、キャプテンとしてチームをリードした試合は21試合という記録だった。彼の月給はNPC、スーパー12、オールブラックスとして合わせて推定$500,000NZドル(日本円約4千万円)とも言われている。 もし引退が本当のことだとするならば87年の第一回ラグビーワールドカップ決勝でキャプテンを務めたデービッド・カーク以来の「自らの意思」でABを去ることになる。 ABは当然のごとく新しいキャプテンとセンターが必要となる。しいては次期ワールドカップにも重要な影響が出てくる。 ウマガ自身は07年のフランスでのワールドカップに出るとしたら、その間さらに2シーズン分のスーパー14、NPC、そしておよそ20試合分のテストマッチをこなさなくてはいけないことになる。正直肉体的にもかなりきついものを強いられる。 ウマガが国際試合の舞台から身を引くタイミングとしてはとても優れていると同時にとても現実的な判断とも言える。それはオールブラックスの選手選考委員にとってもキャプテンの後任者選考とセンターというポジションの適任者を選ぶに十分な時間が与えられるからだ。 実際のところ考え付くキャプテン後任者にはリッチー・マッコウの名前も挙がっている。今年で25歳という若さも魅力だが、キャプテンを務めた経験もあるからだ。ただ懸念されているとすれば彼の健康面だ。彼は過去2、3シーズン中に3回にも及ぶ頭の怪我で倒れている。オープンサイド・フランカーというポジションからのチームの陣頭指揮も支持のしやすさから考えるとプレー中どちらかといえばチームに対して利をもたらすというよりもレフェリーとの対立を生みやすい気がする。 別の選択肢としてオタゴのキャプテンでグランドスラムからABへの復活を遂げ、国際試合にも十分な経験を持つアントン・オリバーという声もある。彼は01年にキャプテンを務めたこともあるのだが、当時ラインアウトのスローイング(ボールが真っ直ぐに投げられない(笑))の問題を通してメンバーからは怪我が理由で外された。 しかし彼が就くとなると考えなくてはいけないのはフッカーのポジション問題だ。何故ならケビン・メアラムの戦力としての存在を無視できないからだ。 センターの適任者はどうだろうか? ウェリントンの強力なコンラッド・スミス、マーア・ノヌに加えてミリズ・ムリアイーナ、ケイシー・ラウララという選択肢もある。 ノヌはとても破壊力あるプレイヤーでもあるが、ミスをするのも多い。 一方コンラッド・スミスはどの状況において巧みな上手いプレーをする。特別に素早いとか力強いということではないが、何かもう一つ欲しいといったところか。しかし最近はこの点の質の強化を図っているところだ。 しかしながらもし彼がレギュラーのセンターになったとして、その判断はアーロン・メイジャーとのミッドフィールダーとしてのコンビネーションが強化されたというには程遠い気がする。常にウマガの影にいたが故に未だ経験不足だと思う。 トライネーションズの勝者として、来年は14の国際試合、それはアイルランドやパシフィックアイランダーズをホームで迎え撃つのと同時にアルゼンチン、フランス、イングランド、ウェールズを討ちに遠征しなければならない。この機会のなかで更に若手の活躍を期待すると共に次期ワールドカップに向けて更なる成長を遂げてもらいたいところだ。 ウマガが辞めることでこういったことが問題として上がっているが、仮にウマガが続投したとしてもやはりヘンリー監督はもうウマガだけに重きを置くことは難しいような気がする。NZとしては今現在はウマガは欠かせないプレイヤーではあるが、ここは一時の感情で流されず、しっかりとチームとしての成長ぶりを見守りたい。 ♪Nickelback - Someday お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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