奥山Report!Part2
今回は、フェラーリやイタリアのブランド戦略について取り上げますね。奥山氏がデザインしたエンツォ・フェラーリ。フェラーリでは10年に1度、限定車を発売しているそうで、エンツォも限定車として世に送り出されました。限定車だから当然台数も決まっているのですが、エンツォの発売に際しフェラーリから発表された台数は349台(最終的には399台になったようですが)ここでみなさん感じられたと思うのですが、「なぜ350台でないのか?」限定車発売前には全世界のフェラーリのディーラーでマーケティングをかけます。「6,000万円~8,000万円の価格帯で限定車を発売した場合、あなたは購入しますか?」エンツォの発売に際し、この問いに「Yes」と答えた人は350名だったそうです。そして、ここが面白い点なのですが、フェラーリでは創業者が決めたこんな社訓があるのだそうです。「需要より1台少なく生産するように」エンツォの発売価格は7,500万円でしたが、3,500人以上の申込みがあったとか。しかも、ただ申込みするだけではダメで半額を手付金として支払わなければならないそうです。すごいですよね、3,000万円をポンと支払える人が少なくとも全世界に3,500人以上いるんですね・・・こうして3,500人の中から349名が選ばれ、大半の人は購入することができません。そして、大切なポイント。「購入できなかった人へのフォローが実にうまい」徹底的にアフターサービスを行い、そこには大変な労力をかけているのだそうです。だから、顧客のフェラーリに対するブランドロイヤルティは非常に高い。奥山さん曰く「フェラーリは、お金を出しても買えないものを売る」「フェラーリは、売らないための神話を作っている」そして、「フェラーリは、技術とデザインの出し惜しみはしないが、数の出し惜しみをする」「お金を出しても買えないものを売る」これは、イタリアのブランドに共通して言えるともおっしゃっていました。ちなみに、エンツォ発売から数年後、中古車市場に出てきたこのクルマについた値段は1億5,000万円だったそうです。あと、世界への情報発信におけるイタリアと日本の違いもお話ししてくださいました。イタリアは地域ごとに特色があります。ミラノやフィレンツェなら「ファッション」トリノは「クルマ」トスカーナなら「ワイン」などなど・・・イタリアでは、それぞれの土地から直接世界に向けて情報発信をしています。ミラノから世界へトリノから世界へイタリアの首都がローマだから、ローマ経由で世界へ発信・・・なんてことはしない。では、日本はどうかというと、全ての情報が東京経由。ここで話しは少し変わりますが、私もずっと奥山さんのことを「カーデザイナー」ということでご紹介してきましたが、実はクルマ以外にも様々なデザインを手がけていらっしゃいます。家具やカーペット、鋳物、ロボット、テーマパークなどなど詳細はどうぞこちらをそして、今、力を入れて取り組んでいらっしゃるのが出身地である山形の素晴らしい技術を世界に紹介していくこと。「東京経由ではスピードが遅いし伝わりにくい」とイタリアの「地方から世界へ直接発信」する方法を取り入れて世界に向けて山形の技術をアピールされています。奥山さんのお話しをお聞きしていて感じたのは、「ものの見方や発想が非常にグローバルである」ということ。だから、ご講演の内容も非常に幅広くて深い。これは国際舞台で活躍されているからこそなのでしょうね。そして、「とても日本(特に山形)を愛していらっしゃる」イタリア在住なので、1ヶ月に1度は週末を利用して帰国(!)し、日本でのお仕事をこなしていらっしゃるそうですが、このPowerは日本を山形を大切に思っていないとできないことだと思います。これだけの素晴らしい方が日本でまだまだあまり知られていないというのは私にとってはとても残念なことです。奥山さんの世界で通用する仕事術や山形での取組みをぜひ1人でも多くの人に知ってもらいたいと強く思っています。なので、私の現在の夢は、一般の方が参加できる奥山さんの講演会を大阪or東京で開催することです。絶対やりますからね!ふ~・・・もともと文章を書くのが遅いのですが、奥山Reportは、私の想いが強くてなお一層時間がかかっております(笑)まだまだお伝えしたいことはありますので、折りをみて書かせていただきますね。次回は奥山さんとは違うネタでのんびり書きたいと思っています。すっごいPowerがいるんです、奥山Report(笑)なので、奥山Report!Part3はまたいつか・・・