動作の巧緻性/ S I (注)的考察
◆ 体幹における関節の多さ、筋の形態や走行の多様性から、体幹動作の巧緻性は、本来的にはかなり高いと言えよう。◆ 手腕を用いる動作は多様である。指先で細かい作業を行なう。重量物を持ち上げる。何かに手を伸ばす。そして、それらの動作により、上腕、肩甲骨、胸郭の構成(関係性)は異なってくる。◆ 動作の巧緻性を向上させようとするとき、機能的身体(物理的/構造的身体における機能面)と表象的身体とを重ね合わせる作業が必要となる。両身体は、改変・精緻化されながら互いに近づき、適応的に「連結」される。◆ 「ホーリズム holism 」(ロルフィング5原理の1つ)のみが強調されると、〈全体〉を構成する〈諸要素〉が軽視され、たとえば、身体各部位の働きが十分に明確化されない場合がある。そうなると、施術の目標や効果も不明確なものとなる。(注) Structural Integration 「構造的身体統合法」の略称。アイダ・ロルフが創始したボディワーク・メソッドの総称。日本では、ロルフィング、シン・インテグレーション、ヘラーワーク、GSI などが知られている。