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私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

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2019年04月16日
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カテゴリ:千の朝

 歴史上正統政治には
 正統王制と正統民主制の二種類しかない
 とするグリエルモ・フェルーロの考えは、
 少なくとも西欧に関しては正しいから、
 ルイ一六世の処刑によって
 正統王制が崩壊した後のフランスの歴史は、
 革命と反革命をくり返して無駄な血を流しながら、
 正統民主制の成熟を待つしかなかった。

 しかし日本の場合は幕府が倒れれば、
 その権力を朝廷に移管すればよいのだから
 権力の空自というむき出しの恐怖は起らない。

 日本人はそれをよく知っていて
 倒幕に当って予め朝廷の承認を得ておこうとさえした。

 幕府の権勢が眼に見えて衰えた安政期に
 各藩の朝廷工作が活発化したのはその現われで、
 そもそも「公武合体」という折衷案が考えられたり、
 将軍が大政を「奉還」するという発想自体が
 二重権力制度の利点を物語っている。

 しかも現代日本の政治は、
 実務権力が普通選挙制度と三権の分立とを取り入れた正統民主制となり、
 一方正統君主制は再び江戸時代に似た権威の中心に後退して
 両立の形になっているので、
 基本構造としてこれほど完壁な制度は考えられまい。

 おそらくグリエルモ・フェルーロが生き返ったら、
 比類のない卓抜さに感嘆するのではなかろうか。

「敗者の戦後」 入江 隆則 中央公論社





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最終更新日  2019年05月16日 07時50分25秒
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