カテゴリ:千の朝
一八七八年に ヘンリー・ジェイムズはホーソンの小伝を書いたが、 そのなかに「他の国に存在して、 アメリカ生活には欠けている高度文明の諸要素」を列挙した、 有名だが(アメリカ人にとっては)きわめて腹だたしい一節がある。 しかも、そうした要素こそ文学の創作には欠かせない 豊かな趣きを社会に与えるものだ、とジェイムズは主張する。 アメリカにないものは、国王、宮廷、個人の忠誠心、 貴族、国教会の会堂、国教会の牧師、軍隊、外交官、 地方の大地主、宮殿、城、荘園、古い地主の邸宅、 牧師館、わらぶき屋根の小屋、ツタに覆われた廃墟、 大聖堂、修道院、ノルマン人の教会、立派な大学やパブリックスクール ――オックスフォードもなければイートンもハローもない。 さらに文学も小説も博物館も絵画も政界も スポーツを愛好する階級だってない ――エプソムもアスコットもないのだ! 「現代史」 上 ポール・ジョンソン 共同通信社 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年04月17日 05時10分08秒
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