ぶたぶたと秘密のアップルパイ、矢崎在美
ライトノベルアップルパイがとりもつ人間模様本書は一見短編集の様に見えますが、内容は連続しています。初対面の人が、山崎ぶたぶたが、ぬいぐるみである事に、一様に驚くのは、これまでのシリーズと同様ですが、驚き方には、バリエーションがあって面白いです。ぶたぶた特製のアップルパイは、切るとりんごの粒が混じったソースが、じわっと溢れてきます。ぶたぶたの人柄を、このアップルパイが表しているかの様です。人と人との係累の蝶番部分に、いつも、このアップルパイがあります。既刊「ぶたぶたの食卓」でも分かるのですが、ぶたぶたは料理が大変上手です。同時に、ぶたぶたの喫茶店の、客の「料理」も巧みです。物語は、ほのぼのとしているばかりではありません。それぞれの人が、それぞれの悩みのために、人生に制約を受けています。ぶたぶたの活躍は如何に。