|
カテゴリ:見た聞いた読んだ
今、中国(大陸・香港)では、 李安(アン・リー)の新作映画『色・戒』が空前の大ヒットを記録し、 世間を騒がせています。
が、 一方で、 この数日、 巷でちょっとした話題になっている映画が、 明日、11月23日公開を迎えようとしています。 名前は『盲山』(Blind Mountian)です。
僕はちょっと前ネットでこの映画のDVDを購入し、見ていました。 正規版のDVDが発売されて久しいのに、 なぜ今頃上映されるのかは定かではありませんが、 ここに来て、 中国映画界の巨匠・馮小剛(フォン・シャオガン)が大絶賛した。 などと話題になり、 普段あまり映画を見ない中国人の友人の口からも、 「『盲山』、見たか?」 と話題になることがあるくらいです。
会社では昨日の昼休み、この映画の話で持ちきりでした。
この映画のメガホンを取ったのは、李楊という監督です。 実はこの監督、 前作『盲井』というヤミの炭鉱で起こる壮絶な出来事を舞台にしたドキュメンタリーを撮り、 2003年ベルリン国際映画祭の銀熊賞(芸術貢献賞)受賞 という華々しい経歴を持っています。
しかしながら、 この映画が中国当局の許可なく撮影されたことにより、 3年間国内での映画製作禁止処分になっていたのです。
この『盲井』も恐ろしいくらいにすごい映画なので、 かなり必見ですが、 謹慎が解けて撮った新作、 『盲山』もすごい映画になっています。
『盲山』の物語はこんな感じです。 ~~~ 就職活動中に苦戦中の女子大生が、 薬草を取りに行くというアルバイトを名目に山に連れて行かれます。 しかし、それはまったくのウソで、 彼女は、 ふと眠り、目を覚まして、 初めて、 農家の嫁として、自分が数千元という値段で売られたことを知ります。 村中がこの人身売買のグルとなっている中、 何度も村を脱出しようとするのですが・・・。 ~~~
まるでドキュメンタリーを見ているような迫力ある映像で、 見ている間本当に息をするのも忘れるくらい緊張感に満ちた映画になっています。
ここで起こる「人身売買」は、 現在の中国で実際に起こっている現実です。 僕も何度もこういった話は聞いたことがありましたが、 こうして映像になると、 物語とはいえ、 圧倒的なリアリティのある出来事として目の前に突きつけられます。
あまり先入観を持たず見て欲しいので多くを語りませんが、 この『盲山』では、 ○どうしてこの女子大生が逃げ出せないのか、 ○現在の中国でどうしてこういうことが起きてしまうのか、 その不条理さと、 どうしようもない現実、 そして、 腐りきった中国のもうひとつの姿を、 「盲」=Blind という意味を込めて、描ききっています。
ただ、 残念なことに、 題材が題材なだけに、 当局の厳しいチェックを余儀なくされ、 かなりの大幅な編集と修正がしたことは容易に想像されます。 編集がかなり粗く、 まるごとバッサリ切られている印象を持ちました。 また、結末は・・・ とにかく中国当局が面子をつぶすような結末ではなくなっています。 それが残念といえば、残念です。
きっとインターナショナルバージョンみたいなものが存在し、 中国公開バージョンとはまったく違う作りになっていると思いますが、 それでも、是非この映画を見て欲しいです。
この映画の中で起こることが、 オリンピックなどと浮かれまくっているこの国で、 実際起きている出来事だと想像すると、 鳥肌が立つほど恐ろしくなります。 映画ですが、現実です。 本当に、本当に恐ろしくなります。
低予算で作ったこの作品、 是非、映画館でまでは言いませんが、 正規版のDVDを買い、 次回の作品の製作費に回るよう少しでも協力してあげたいです。 気軽に見れる映画では決してありませんが、 中国に生活している以上、 見ておくべき映画だと僕は思います。 是非、たくさんの人に見て欲しい映画です!!! 『盲山』 ★★★★★ ↑amazonで購入できます。
ちなみに、大望路にあるシネコン万達のHPによると、 明日の上映時間は、10:20 14:50 19:10 21:30となっています。 ※変更の可能性もありますので劇場に直接お問い合わせください。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[見た聞いた読んだ] カテゴリの最新記事
|