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カテゴリ:読書備忘録
妹うのうに「キンタローのもっと可愛い・・・っていうか、凶暴な顔をしてない画像は撮らなかったの?」と聞いてみたら、
「人が近くにいるとずっと吠えてるし、じっとしてないからぜんぜんまともな写真が撮れなかったんだよ。他の写真も変な顔してるけど送るよ。」と言って、送られてきた写真。 本当に変な顔してるな~ 何だ?この眉毛は 一緒に送られてきたログハウス風の犬小屋をバックにキンタローのしっぽとうのうの手だけが写りこんでいる写真をよく見ると、犬小屋の正面のプレートにごちゃごちゃと何かが書いてある。 聞くところによると、なぜか犬小屋なのに犬のフルネーム(しかも漢字で書かれてあるので銭形金太郎みたいになっている)と住所が書いてあるらしい。 よくよく見るとご丁寧に郵便番号らしき数字の羅列も見える。 前々からウチの親は常識では思いつかないような理解不能なことをよくやると薄々感づいていたけれど、さすがのうのうも不思議に思ったようで、 「何のために犬小屋に住所が書いてあるんだろう?」と言っていました。 「それはさぁ・・・道に迷った人が現在地を確かめるためとか、キンタロー宛の手紙が確実に届くようにするためじゃない?」と適当に答えておきました。 普通、犬小屋っていうのは「ポチ」みたいに犬の名前だけ書いてあるものじゃないの? 猫鳴り 一匹の不器量な猫モンの一生とそれをとりまく人間の話である『猫鳴り』。 猫は飼ったことがないけれど、不器量な捨て犬を拾って飼い続けていたので気になって読んでみました。 ・モンが夫婦に拾われるまでを書いた第一部。 ・親とも学校ともうまくいかなくて、攻撃的になっている少年と子猫が出てくる第二部(近所のデカい猫としてモンが登場)。 ・すっかり老人になった飼い主と老猫モンの最期を書いた第三部。 の三部構成になっています。 必ずしも猫好きな人が飛びつくようなテーマではないな・・・ と言うのも、初っ端から「怪我をしている生まれて間もないような子猫を何度も捨てに行く」主人公(40代の主婦)が出てくるのだから、残酷極まりないというか。 何度遠くに捨てて来ても、なぜか次の日には家のすぐそばまでやって来る可愛くない子猫。 猫嫌いな人だったらホラー以外の何者でもないよ・・・この状況。 それでも猫の方も必死だから(本能的なものなのか)、なるべくひっそりと慎ましく「生きて」いこうとしている。 ウチでも捨て犬を引き取ったことがあって、既に一匹飼っていたし「さすがに2匹は飼えないから・・・」というので、一度捨てに行ったことがありました。 でも、家に帰ってみると捨てたはずの犬がニンゲンよりも先に帰ってきている(゚◇゚;) 「そんなにこの家が気に入ったのなら・・・」ということで、飼いはじめた犬もモンのように本当に手のかからない子だったな~ 滅多に吠えないし、偏食もせずに何でも食べるし、首輪が外れても逃げていかないし、病気もしない。(もともと飼っていた柴犬はその反対だったので、非常に手間がかかった) 元々ブサイクだったのと、見る見るうちにデカくなっていたのもモンに似ている。 多分、一度捨てられた動物は共通して「この人なら飼ってくれそう」というのを本能的に見極めて、なるべく慎ましく生きる方法というか空気を常に感じているんだと思う。 そんないじらしさを思い出して、「ありがとう。それからゴメンネ。」と言いたくなりました。 第二部に出てきた少年。 テレビで見たフワフワしたペンギンのヒナに嫌悪感というか、殺意さえ覚える。 それと同じ感覚を人間の子供にも抱くのだけど、その心理描写が凄いな・・・と思いました。 多分それはアタクシが子供の頃に感じていた感情に近いからなのかもしれないけれど、「子供が子供を殺す」というのがちょっと近くなったようでゾクっとしました。 今は一応大人になったので、それを実行することはない。 でも、「幼い自分」や「小さくて可愛い自分」を十分に知りつつ振舞っている子供に対する嫌悪感は根底のところで消えてはいないかもしれないな・・・ 自分がこの少年と同じくらいの歳のころ、何か邪悪な影が背中を押したら相当恐いことをしでかしたかもしれない。 幸い(?)妹たちはどこか大人びていて可愛げのない子供(幼児)だったし、母親にも「やっていいこととわるいことをよく考えなさい」と常々怒られていたので、子供の自分なりに考えたからその当時間違った方向に行かなかったんだと思う。 とは言うものの、いけ好かない近所のガキをひっぱたいたりつねったりくらいはしてたよな・・・という記憶はなんとなくある。 案の定、ビェ~!!!と泣き出すわが子にびっくりして親が飛んでくるのを睨みつけながら、耳をふさいで「うるさいっ!」と怒鳴っていた子供時代は、早くこのガキ地獄から抜け出したくて勉強や習い事に精を出していたんだと思います。(勉強をしていれば子守をしなくても文句は言われないからな) 今は身近にアタクシの一番苦手とする幼児くらいの子供がいないから、アタクシの心は平穏だ。 一般的に「子供は3歳までに一生分の親孝行をする(ほど可愛い)」と言うらしいですが、それくらいの子供が一番嫌いだという人も世の中にいるということも心に留めておいて欲しいものです。(そんなアタクシが精神的にオカシイのかもしれませんが) 何はともあれ、コトをしでかしてしまった後の少年の父親(ここの家族は父子家庭なのです)の対応がまた小気味よくて、その後の父子関係もスッキリした気分で見届けられました。 第三部でじわじわとモンに死がせまってくるのを「これでよかったのか?」とか「あの時ああすればよかったのかも?」と反芻しながら老猫の介護をする老人(第一部の主人公の夫)。 一方、当の本人(本猫?)であるモンは日々弱っていく身でありながら、じっと「死」というものを受け入れるかのように泰然としている。 人間よりも動物のほうがよほど死に対して忠実に自然に受け入れ態勢ができているものなのかもしれなくて、それを見守る人間のほうがそれを受け入れる覚悟がなかなかできない。 それでも最後になんとなく心が温まるような気がしたのは、主人公である老人がモンを通して「死というものへの折り合い」みたいなものを見つけたからなのだと思いました。 題名である『猫鳴り』が何のことなのか、第三部になってようやく分かります。 猫を撫でたことがある人はわかると思うけど、確かにあれは「猫鳴り」だよなぁ・・・うんうん。 作者の沼田まほかるさん。 一風変わったお名前ですが、アタクシの親世代の方でした。 主婦、僧侶、経営者という面白い経歴をお持ちのようです。 ちょっと他の作品も読んでみたくなりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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