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テーマ:ひとり言(81)
カテゴリ:ひとり言
人事関連部署にいた時、身体障害者の雇用に取り組んだことがあります。 当初、私自身は消極的でした。 事務所の周囲には、数千点の建設資材があり、危険が付きまとうからです。 しかし、法令で障害者のための面接会があり、参加せざるを得なくなりました。 その席にひとりの女子学生が来ました。 ひととおりの説明をすると、強く入社を希望してきました。 彼女は、耳が不自由でした。 前述した通り、危険はありましたが、彼女の移動場所を限定すれば大丈夫だと感じました。 そして、面接をしましたら、非常に優秀な人物であることがすぐにわかりました。 アシスタントの女子社員から、「彼女でダメなら、うちでは障害者を採用できませんね。」と言われました。 私もその通りだと思いました。 早速、社長に事情を説明し、採用に踏み切りました。 そして、彼女の在籍する学校にあいさつに行きました。 全国から、やる気のある生徒を集め、かなり厳しく教育している、ということでした。 それでも、配属先からは、不安と不満の声が聞こえてきました。 私にも初めてなので、反論はできません。 ところが、実際に仕事を始めると、そのような不安や不満は吹き飛んでしまいました。 データの入力をやってみると、先輩社員の3倍のスピードでした。 上司が適度に仕事を振り分けると、彼女だけさっさと終わってしまい、退屈そうでした。 ある時、障害者年金に関連して、役所の手続きが必要になりました。 私が同行して手続きを済ませました。 その待ち時間に質問されました。 彼女「もし、目が見えないのと、耳が聞こえないのと、どちらかを選ばなければならないとしたら、どうしますか?」 とても難しい質問なので、しばらく考えてから答えました。 私「どちらも不便だから選ぶのは難しい。でも、一番悲しいのは心が不自由なことかな。」 彼女「・・・」 私「君は耳が不自由だけど、心は自由だと思うよ。」 そこまで話した時、窓口から呼ばれてしまい、会話は終わりました。 彼女が何を感じて、どう思ったかは、わかりません。 彼女が入社してから、職場の雰囲気が変わりました。 特に若い社員の意識は確実に変化しました。 ハンディがあっても、誰よりも優れた仕事をする彼女の姿は素晴らしいものでした。 また、障害者と接する中で周囲の発想も変わっていきました。 中には手話をマスターする女子社員まで現れました。 障害者雇用に消極的だった自分を恥ずかしく感じながらも、まったく期待していなかった素晴らしい副産物に大きな喜びを感じました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年06月20日 16時03分29秒
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