地球人スピリット・ジャーナル1.0

2008/08/17(日)12:45

白洲次郎・正子の食卓

アンソロポロジー(108)

「白洲次郎・正子の食卓」 牧山桂子 2007/01 新潮社 単行本 Vol.2 No.0228 ★★★☆☆   正子は次郎と19歳で結婚する時、特別のお手伝いさんをつれてやってきたというし、晩年まで自らが料理することはなく、ごくごくたまに自分で食後の皿など洗ったりすると、金メダルでも取ったように大騒ぎだったという。    次郎とて、専業農家(あるいは兼業農家)を標榜しつつ、食には関心を持ちつづけたようだが、常に台所に立って料理したとは思えない。著者・牧山桂子は夫妻の長女にして、白洲信哉の伯母にあたる。料理をしない母・正子を見ながら育った桂子は、結婚したあとは夫に意見されたくないので、積極的に料理をしてきたという。 次郎もまた、桂子が洋服が欲しいとか言ってもいい顔しなかったが、調理器具などは比較的高価なものでも買ってくれたという。「武相荘」の隣に自宅をたてて住んだ桂子が、次郎・正子夫妻の食卓を切り盛りしたことも多かったのだろう。その料理が、夫妻がなくなったあと、その夫妻を偲びつつ、一品一品を作り上げる。食卓のにおいがしてくるようなきれいな写真がつづき、また、食が添えられている器も美しい。ひとつひとつが、夫妻、とくに正子によって選び残されたものだろうか。  私は、いわゆる世間の親の概念とは違う両親のもとに生まれ育ちました。今でこそもうそんなことはありませんが、小さい頃の私は、自分にないものが羨ましいという人間の困った本性にたがわず、他人が持っているあたり前の家庭が羨ましくてしかたありませんでした。母親がいつも家にいて、学校から帰ればおかえりなさいと子供達を出迎えたり、家族揃って食卓を囲んだり、おべんとうを作ってくれたり。そんな母親を夢見ておりました。p130 牧山桂子

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