2009/03/28(土)13:41
兄弟は他人の始まり
老親介護の現実を、嫌と言うほど突きつけられる一冊。
著者自身は、二人姉弟の姉、そして、夫は男三人女一人兄妹の三男。
言葉はとっても悪いが、上手くいけば、
直接、老親介護に関わらなくても済むかもしれないという、ポジションである。
しかし、著者の場合、結婚話がもつれた弟が家を出て、絶縁状態となった後は、
9年の通い介護を経て、実の両親と同居、その面倒を一手に引き受けることに。
その後、母は脳内出血で倒れ、要介護4の寝たきり状態、
父はアルツハイマー病を患って、暴力等様々な問題を起こした後に、入院。
一方、夫の実家でも、長男夫婦が、表面上は老親に対し上手く立ち振る舞いながらも、
実際には、介護に関わる姿勢を全く見せず、末娘の妹が同居して面倒を見ている状況だった。
しかし、姑が脳梗塞で倒れると、舅は愛人を家に連れ込み、実娘を家から追い出してしまう。
両家揃って、同居や介護、遺産相続をめぐって、骨肉の争いが繰り広げられる。
人は生きていれば、必ず老い、最後は、この世を旅立つ。
ただし、その旅立ちへの助走は、人それぞれに違いがある。
本著に示されたような想像を絶する状況は、そう多くあるものではなかろうが、
こうなる可能性は、誰にも等しくあり、決して他人事ではない。
***
本著はもちろん、著者から見た現実を描いたものである。
きっと、著者が知らない現実・事実・真実も、多々あるはずだ。
この状況を、他の兄弟姉妹や配偶者からの視点で描けば、
きっと、かなり趣の違うドラマが出来上がるのではなかろうか。
私としては、著者の弟の妻が描いたドラマを、ぜひ読んでみたいと思った。