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モラルに体当たり記

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August 19, 2006
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カテゴリ:書評
久しぶりに、心動かされる小説を読んだ。

読んだばかりで、まだ、内容についてコメントできるほど、
きちんと作品を咀嚼できていない。

けれど、きちんと咀嚼したい、と感じさせる小説であることは確かだ。

そして、ひとつはっきりと気づく。
私にとって、小説とは、「問いを投げかけてくるもの」だ。
私が心動かされる文学は、物語の形をとった哲学である。

作者が答えをあらかじめわかって書いている文学、
作者の価値判断がはっきりと感じられる文学、
作者が啓蒙的な文学には、私は心惹かれない。

それらが、どれほど美しく、どれほど素晴らしくても、
それらはただ美しく、素晴らしく、完成形としてそこにあるもの、だ。
文学というよりも、むしろ美術であり、鑑賞の対象なのである。

だから、私の好きな文学は、基本的に暗い。
遠藤周作が好きで、ドストエフスキーが好きで、初期の藤沢周平が好き。

どこをどう切り取っても、サガンとか出てこないのである(苦笑。
(いやサガンはサガンで異常に切ないので、この例えは間違っているかも。)

茂木健一郎によると、「感動する」とは「脳に傷をつけられる」ことなのだという。

私が『朗読者』から受けた感覚を、感動と呼べるのかどうかはわからない。
けれど、「脳に傷を付けられた」ことは間違いない。

お勧めの本です。
重くて暗いけど(w。

しかし、『海辺のカフカ』にしろこの『朗読者』にしろ、
15歳ってのは、男子にとってどんな意味があるんだ?
うーむ。。。。

以下備忘で、いくつか、気になった文章を。

「黙殺というのは、数ある裏切りのヴァリエーションの中ではあまり、目立たないものかもしれない。(略)この黙殺行為は、派手な裏切りと同じくらい、二人の関係の基礎を揺るがすものなのだ」

「彼女は常に戦ってきたのだ。何ができるかを見せるためではなく、何ができないかを隠すために」





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Last updated  August 21, 2006 02:39:48 AM
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刺激されました   miffy さん
お久しぶりです、お元気ですか?
しばらく「読書ばなれ」していた私ですが、
久しぶりにブログにお邪魔して、刺激されました。
私の読書歴ではあまり参考にならないかもしれませんが・・・
最後に読んだ本は
The Glass Castle (Jeannette Walls)(洋書)、
暗いけど、おもしろかったです。
江國香織はたくさん読みましたが、
「きらきらひかる」がオススメです。
古いものでは、
「悪女について」(有吉佐和子)
「こころ」(夏目漱石)は
今でも何年かに一度、読み返します。
偶然にも、昨日、うちの主人が
「僕は読んで学べる読み物が好きだ。小説からは学ぶものがない」と言い、私は
「それは違うと思う。文章やコトバという、
人間にとって、限られた、不自由な道具を使って、他者に感覚や、気持ちや、経験を伝える、という意味では小説にも学ぶところはたくさんある」と言いました。
心に残る(引っかかる)文章を見つけたときは、
その本のことを忘れませんよね。 (August 23, 2006 12:09:36 AM)

Re:刺激されました(08/19)   bitteraska さん
miffyさん

お久しぶりです。
私も「こころ」は大好きです。
近代日本文学の最高峰をなす作品だと思っています。

有吉佐和子といえば『華岡青洲の妻』が凄みがあって好きです。
「悪女について」は読んだことなかったので、今度読んでみます。

江國香織はねえ・・・嫌いじゃないんですが、
「んもう、繊細すぎるよ!!アンタ!」と言いたくなってしまうのです(w。

>「僕は読んで学べる読み物が好きだ。小説からは学ぶものがない」

・・・うーむ。もちろん何を「学び」と呼ぶかは、人それぞれだと思うのですが、

端的に言えば、小説からは「人の心」というものを学べると思います。
そして、それ以上に「自分」というものを学ぶ機会になると思います。
特に「自分だったらどうするか」ということを考えながら読むと、思っていなかった自分を発見したり、「あのときわからなかったあの人の行動の意味」がわかったりするものです。

ぜひ、小説をおすすめしてあげてください。
昔嫌いだったものでも、年とともにその良さがわかってきたりしますから。 (August 31, 2006 02:50:22 AM)

ジャンル・だるく?   alphanu さん
おひさしぶり。お元気してますか?アタマは暇ヒマなalphanuです。
最近読了したのでハマったのは「フェルマーの最終定理」です。
簡単ではないですが、数学の素人でもおもしろく読めると思います。
あと、意外なところでは宮本常一著「忘れられた日本人」とか、
鷺沢萌著「ありがとう。」とか。趣味じゃないかも知れませんが、
とりあえず本屋で手に取るのはいかが?神風怪盗ジャンルより。

「フェルマーの最終定理」
http://item.rakuten.co.jp/book/4049400/

「忘れられた日本人」
http://item.rakuten.co.jp/book/146355/

「ありがとう。」
http://item.rakuten.co.jp/book/3625366/ (September 10, 2006 10:23:43 PM)

Re:ジャンル・だるく?(08/19)   bitteraska さん
alphanuさん
>おひさしぶり。お元気してますか?アタマは暇ヒマなalphanuです。
>最近読了したのでハマったのは「フェルマーの最終定理」です。
-----
わたしもこの本、好き!
最近、「文学がわかる理系の人」が、いいのではないかと思っております(w。 (September 18, 2006 10:39:54 PM)

科学者の業績とは   ゲルハルト さん
「科学者の業績とは。。。」Karl Popperの考えはちょっと違うです。。。
どう思う?

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%91%E3%83%BC (September 19, 2006 01:20:39 PM)

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