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テーマ:ワイン大好き!(30323)
カテゴリ:ワイン
ワイン好きの我が家には6本入りのセラーがあり、実家にも白ワインをしこたま持っている。 新婚旅行で行ったイタリアのエノテカで関税払ってまで買って帰った記念。 ところが、妻は酒に弱く、少し飲んでも体調不良になるほど。 つまり、飲むのは私だけなのだ。 ということで、重い思いをして買って帰ったワインを一人で飲むわけになっている。 バローロを始め出番がないままセラーで10年以上眠っていたのだ。 そこで私は考えた。ワインを持ち込み出来る店がいくつかあるらしいので、 今度の忘年会でみんなと一緒に楽しんでもらおう。 案の定、持ち込みが許され10年強選手の白ワインをみんなで飲んだ。 しかし、私は見てしまった。お店の方の感情を覆い隠した寂しげな横顔を。 それが気になり、別のお店の方(そこは持ち込み禁止)に聞いてみた。 彼は丁寧に若輩者のわたしに話してくれた。 それは長くなる。興味を失った方には別コンテンツを楽しんで。 「さて、多くの人がワインを飲んでいる今、現在のワイン文化はどうでしょう。 レストランにワインを持ち込もうとする者が、結構多いのです。特別な場合を除いては、本来ご法度ものです。なぜなら、飲食店はワインを売って生活の糧としているからです。しかしここで、言い訳が出て来ます。レストランが、自分の気に入るワインを置いていない、というのが最も多いのです。 ならば、レストランに言って、そのワインを取り寄せればいいではありませんか。 お客様からの要望が増えれば、レストランの意識も少しずつ変わり、ワインの取り扱いも増えるはずです。色々な種類のワインが飲みたければそのように予約をすればいいのです。そんなオーダーがレストランを通してワイン屋に入ってくれば、なんとしても要望に応える努力してくれるようになります。何よりも、より良いコンディションで飲んでもらえるようになるのです。 その他に、持ち込みをする理由は他にもあります。自分が入手した価格よりもレストランで購入する方が高いのが惜しい。しかし、購入した価格は、家で飲む場合の価格です。レストランで飲むことは、場所を借り、グラスを借り、そのお店の料理を提供してもらい、ワインのサービスをしてもらう等の多くのメリットを得ているのです。そのためのコストを忘れてはなりません。それでもなお、持ち込もうという考えは、極論で言うならば、営業妨害であると気付く必要があるのではないでしょう。 言い訳ならばまだあります。料理側で儲けているんだから・・・と。そう言うのならば、料理だけ食べて止めて、次の違う店に行けばいい。但し、当然ですが、そこでは料理とワインのマリアージュを楽しむことはできません。 常連になったからといって何をしても許容される訳がない、と気付く事が文化が熟していく一歩と言えるのではないでしょうか。 但し、持込料を明記しているレストランへの持ち込みは何とか許容するというしかありません。 持ち込みを認めている店の多くが、本当に僅かな持込料設定しかしていないから、本当は自粛するべきでしょうが。 しかし、「自分の持っているワインが希少なものだから、飲ませてあげたいんだ。」などという上から目線の言い訳をする方もいらっしゃる。 自宅で集めたワインは、自宅や、仲間の家で飲むべきものです。 それでもどうしても、そのワインを持ち込むのであれば、少なくとも購入価格と同金額を、ワインバーに支払うべきではないでしょうか。それもせずに持ち込む・・・。これでは無法者です。 豊かになった現在の日本、道徳の高さも世界トップ・レベルと称賛を浴びる。それなのになぜ? 残念なことに、行っている側は悪行だと気付かず、更に悪行を広めるという悪循環に陥っています。悪循環の続きは、自分が持ち込んだワインを、周囲に居合わせた客に振る舞う・・・という行為。たまたまその場に居合わせた方にとっては、棚から牡丹餅の幸運のように感じる方もいるでしょう。 しかし、店の立場で考えてみましょう。利益を生むための席が占有され、その席からの売り上げはゼロ=利益もゼロ。さすがにそれはルール違反だと誰しも理解できるのではないでしょうか。 珍しいワイン、高価なワインを自慢げに振る舞うような者は、ワイン通ともワイン愛好家とも言えません。ワイン文化の振興の妨げになる、スノッブどころではなく、絵に描いたような偽善者、いや、店の立場からは極悪人に他ならないのです。 ワインを飲む楽しみは、自分だけではなく、一緒に楽しむ周りの人すべてに思いを馳せるところから始まるのではないでしょうか。」 要約するとこんな話だ。彼も苦し気な口調で諭すように話してくれた。 そんな話を聞いて、わたしはどうすればいいのか、してしまった行いをどう償えばいいのか、 この悩みは、今も続いている。ただ、彼は、最後にこうも言ってくれた。 「苦しみを増すよりも、何かを持ち込むときは、もう一本注文するなどして、店の人の顔を和らげる努力をしてみる。そうすれば、これから未来への展望・展開のようになる方が、よりマナーを心得た人を増やすことになるかもしれない。」と。 その言葉にわたしは少し救われた気がした。
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最終更新日
2017.06.07 05:22:46
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