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最終章 新たなる命の世界
神崎は妹の為に何度も同じことを繰り返してきた・・・ だが、この世界で自分がやってきた事が間違いであった事に気付かされた。 士郎は妹の優衣と共に今までの償いをする道を選んだのだ。 ある午後の昼下がり・・・2人の若者が話をしていた。 「東條。お前、成績とか大丈夫なの?」 「僕は芝浦君と違ってゲームばっかりじゃなく勉強もしてたからね」 「そうですかぁ」 何気ない会話をする2人の大学生。仮面ライダーガイだった芝浦 淳は明林大学の学生として、仮面ライダータイガだった東條 悟は清明院大学の学生として今は平凡な日常を送っている。 とある街では・・・1人の女性の声が聞こえていた。 「お姉ちゃん、早く!!あそこのお店、美味しくて有名だから早く行かないといっぱいになっちゃうよ~」 「ちょっと待ってよ、美穂。そんなに急がなくて大丈夫だよ~」 仮面ライダーファムだった霧島美穂は姉と一緒に幸せな毎日を送っている。 とある会社では・・・。 「まさか高見沢グループの方から契約して頂けるなんて思いよりませんでした。 「君のお父さんには昔、お世話になってね。これはその恩返しだよ、満君」 「ありがとうございます」 仮面ライダーベルデだった高見沢逸郎は高見沢グループの代表取締役として益々、会社を繁栄させていた。 仮面ライダーインペラーだった佐野 満は父親から会社を引き継ぎ、若いながらも社長として働いていた。近々、結婚する予定もある。 とある港・・・強盗犯を追いかける1人の刑事の姿があった。 「お前を逮捕する!!」 「クソッ!!」 犯人を取り押さえた刑事は仮面ライダーシザースだった須藤雅史である。この世界では彼は正義感溢れる刑事となって行った。 テレビの取材陣をかき分けて颯爽と歩く男・・・その名は北岡秀一。彼にかかればどんな事件も白なるということで世間の話題をさらっていた。 「先生、お疲れ様です」 「取材ってのも案外疲れるよね」 駐車場を歩く北岡と吾郎の前に1人の女性が現れた。桃井令子であった。 「そろそろ・・・独占取材でもさせてほしいんだけど」 そう令子が言うと北岡は満面の笑みを浮かべて令子に駆け寄った。 「そんなのお安い御用ですよ。こんなとこも何なんでもっと良い場所で取材受けますよ」 「そうね。じゃあ・・・あなたのおごりでよろしくね」 「もちろんですとも」 仮面ライダーゾルダだった北岡秀一。この世界で彼は病には冒されていなく、スーパー弁護士として相変わらず多忙の毎日を送っている。 晴天の日・・・街を行き交う人達の中で故障したバイクを押して歩く青年がいた。 「最悪だ!また故障だよ~。よりよってこんな場所で!!」 突然の災難に嘆く青年は歩行していた男とぶつかってしまう。 「す、すいません!!」 「気を付けろ・・・」 「は、はい!!」 彼がぶつかった男の名は浅倉 威。新たなる命の世界では彼は殺人犯でも脱獄囚でもない・・・ただの若者だった。仮面ライダー王蛇だった彼はどこか穏やかになっており、前の世界の様な凶暴性は消えていた。 バイクを押して目的地に向かう青年の目に女性だけの行列が入って来た。 「何だ?あれは?」 青年がその行列の現場に向かうと直ぐに謎が解けた。 「何だ、やっぱりお前か」 青年の前に居た男は友人の手塚海之だった。彼の占いは当たると評判で、今日も多くの女性客で賑わっていた。彼は前の世界では仮面ライダーライアだった。 「よお。今日のお前は災難が続くみたいだぞ、気を付けろよ」 「もう手遅れだっつうの!」 「そうか。またな、城戸」 「ああ」 そう嘆く青年を笑いながら見送る手塚であった。 真司はやっとの思いで目的地に辿り着いた・・・その場所は「花鶏」であった。 真司が故障したバイクを停め、店に入ろうとした時、入口から1人の青年が出て来た。 「なんだ、蓮。お前も来てたのか」 「ああ。待ち合わせの時間まで暇だったからな」 「そうか。恵理さんとデートか?羨ましいやつだなぁ」 真司は蓮をからかったが、蓮も負けじと真司に言い返した。 「お前と違ってモテる男は辛いな」 余裕の笑みを浮かべ、ヘルメットをかぶった蓮はそのままバイクで走り去った。 「おい、蓮!!今のどういう意味だよ~っ!!」 叫ぶ真司であったが、その叫び蓮に届くことなく虚しく響いた。 「俺だってその気になれば彼女くらい」 ぶつぶつと文句を言いながら店内に入る真司をその店の店主である神崎沙奈子が出迎えた。 「いらっしゃい、真ちゃん」 真司はこの店の常連でもあった。そして、秋山 蓮は真司の親友でもあった。 「おばさんさん、いつものね!」 「あんたも好きねぇ~」 いつものやり取りして、いつもの紅茶を頼む真司。 新たなる命の世界はライダーもモンスターも存在しない平凡な世界・・・だが、それがどんな世界よりも幸せ世界。 士郎と優衣は自分達の命と引き換えに選んだのは・・・平和な日常の世界だった。 花鶏のカウンターの片隅に写真たてが置かれ、1枚の写真が入れられていた。 その写真には幼い神崎兄妹が笑顔で映っている写真だった。 その顔はとても楽しそうで。とても幸せそうな笑顔だった。
完
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最終更新日
2013.02.17 18:55:32
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