南に浮かぶ小さなお伽の島 -モルジブ- 2モルジブに降り立った翌日の朝、私とブランは雲一つない抜けるような青空の真下にいた。 真っ白なパウダーのような砂を踏みしめながら、 エメラルドグリーンの珊瑚礁の海を見つめていた。 ついに来たのだ。 鮮やかな赤のハイビスカスとピンクのブーゲンビリアが咲き乱れ、 緑の椰子の木がそよぐ、小さな小さな南の島。 なんて明るい島だろう。 ハネムーナーをはじめ、カップルの笑顔が多い。 スタッフもツーリストも笑顔、皆が笑顔。眩しい。 私達の顔も自然とほころぶ。 8日間の滞在のうち、1日だけアイランドホッピングツアーに 参加した。ローカルの漁民の住む島、そして別のリゾート島を 周り私達の島に帰ってくるツアーだった。 それ以外の日は何もせずに、ビーチで本を読んでいた時間もあ ったが、ほとんどの日をダイビングをして過ごした。 島から突き出した桟橋から、外洋までボートで20分から30分走ると、 ボートの後ろにくっついてイルカ達が戯れる。 もうしばらく走ると、ボートの上からでも大きなマンタの 群れが見えてくる。 海に入ると、まず出迎えてくれる大きな大きな海亀、青や黄色の 綺麗な色のついたトロピカルフィッシュ。 ゆらゆら揺れる白やピンクの珊瑚。 何千、何万匹という無数の魚の群れ。 青とエメラルドグリーン2色だけのシンプルな海の外とは対照 的に、海の中は実に色鮮やかで、なんと生き物が多いのだろう。 現実から閉ざされた小さな島に2、3日もいると、 この世に存在するのはこの島の人間だけなのでは、 という錯覚にとらわれて、少し不安になり、 その人間の数よりも多い海の生き物達に出会い、 ほっと安心したものだ。 つづく ジャンル別一覧
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