テーマ:国際恋愛(198)
カテゴリ:恋愛について
逃避行~ロンドンへ
これは、8年前に私がパリに住んでいた時のお話で、 1.グレーの街~運命 2.出会い~ときめき 3.春の訪れ~婚約 4.蜜の日々~疑問 5.溢れる情熱~激情 6.逃亡~ミラノへ の続きです。 こんなに長くなってしまうとは、思っていませんでした。 読んでくださった方、ありがとうございます。 昔の写真に見入ってしまったり、手紙を 読みふけってしまったり、、、、書くのにも時間が かかってしまって、、、、 でも、一番最後の章でどんでん返し?がありますので、 もう少しお付き合いくださいまし。あと、2回くらい? 7. 逃避行~ロンドンへ その前の日にほとんど寝れなかった私は、夜行列車の中で ようやく安心して眠ることができた。 でも、嫌な夢ばかり見て寝苦しかった。 ノアールと私は、パリでよく日本映画を観に行った。 キタノタケシの映画を数本、今村昌平の『うなぎ』、 大島渚の『愛のコリーダ』等。 愛のコリーダは、かつて日本では上映禁止になったそうだが、 フランス人には大人気で、何度もリバイバルされている。 ノアールも例にもれず、愛のコリーダの大ファンだった。 それは、安部定を基にした実話。 私は8年前にフランスで一度見たきりなので、解釈が 間違っているかもしれないが、、、、 定と、藤辰也が扮する妻のいる男性が駈け落ちし、果てしない 愛欲の世界にのめり込むというストーリーだった。 定が「別れようとしたら、殺してやる。」と包丁をふりかざす 怖いシーンがあった。 男がある日、自分の家へ帰ることになった時、定は男を自分だけの ものにするために、彼を殺すことを決意する。 男も、定の情熱にいつしか翻弄されていったのだと思う。 「お前になら殺されても構わない。」 そうして、本当に殺されてしまう。 この映画の狂気じみたシーンと、包丁を持ったノアールが 夢の中に出てきて私を苦しめた。彼の激しさ。精神の不安定さ。 色んなものが織り交ざった、ドロドロした夢だった。 はっと目が覚めると、翌朝、私達は無事にミラノに着いていた。 夏のミラノは明るかった。 私達は、コモ、ナポリ、カプリ島、ソレント、ポンペイ・・・・・ イタリアで、まだ行っていなかった場所を訪ねた。 安宿やユースホステルに泊まり、美味しい料理をほおばり、 明るいイタリアの街を満喫した。 私の恐怖心はいつの間にか消えていた。 実際、ものすごく楽しい旅行だった。 私に同行してくれたTちゃん、彼女には今でも感謝している。 その後、友人は語学学校が始まる為、パリに帰っていった。 私はパリの美しい街並を思い出した。 5年前に、一人旅で初めてパリに降り立った日のこと。 ノアールとパリの街を歩く時、まるで自分が、フランス映画の ヒロインになったかのような気分に浸ったこと。 本来ならば、幸せな婚約期間が続いているはずだったのに。 私は自分の不幸をのろった。 いや、もしノアールに出会わなければ、今頃 ソルボンヌの夏期講習を受け、時折ヨーロッパを旅行し、 秋のセメスターを受講してから年末に日本に帰る予定だった。 当初の計画通り、秋のセメスターを受けようか。 でも、私は怖くて仕方がなかった。 やはりパリにはいられない。 友人がパリに戻った後、私は一人でローマから列車を乗り継いで、 ジェノバ、ニース、マルセイユまで戻ってきた。 でも、どうしてもパリには戻れなかった。 その後も、電車に乗り続け、アヴィニョン、エクサンプロバンス、 アルル、トゥルーズ、カルカッソンヌと渡り、 そしてスペイン国境で宿が見つからず、初の野宿をして、 バレンシアに入った。 その後、アンダルシア地方、ポルトガルと周り、 いよいよ夏服ではいられなくなった頃、ようやくパリに戻ってきた。 約1ヶ月半ぶりのパリだった。 だが、パリに戻ってきた途端、恐怖心が戻ってきた。 パリの街はとても小さい。いつノアールに出会うか分からない。 パリ以外のどこか他の都市に移動も考えていたが、フランスに とどまること自体が私は怖かった。 秋服を持ってこのまま旅を続けてもいいが、私はヨーロッパ中、 ビザのいらない国は、ほとんど行きつくしていた。 どこか、もう一度行きたい場所はあっただろうか。 一箇所でゆっくり滞在できる街。 どこがいいだろうか。 旅行中に、英語が前ほどできなくなってしまい、もどかしい 自分に気がついていた。 英語で道を聞かれても、フランス語でこたえてしまう。 フランス語はあくまで趣味であり、日本でまた仕事を得るために 英語を忘れてしまうわけにはいかなかった。 そうだ、イギリスに行こう。 英語をブラッシュアップしてから日本に帰ろう。 私は、予定外のロンドンに、2ヶ月ほど滞在してから、 日本に帰ることに決めた。 パリの友人宅に、荷物を置かせてもらったまま、 私は必要最低限の秋・冬の服を入れたバックパックを持って、 ロンドン行きのユーロスターに乗った。 ロンドンでは、すぐに貸し部屋が見つかり、そこに身を落ち着けた。 その日の夜のことだった。 下宿している家の電話が鳴った。 「プルメリア、貴方によ。」 まさか! ノアールからだった。 つづく 国際恋愛・結婚の人気blogランキングに参加しています お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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