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夢を紡ぐ徒然日記

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2010年01月24日
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カテゴリ:趣味・読書
午前三時のルースター


【あらすじ】
 旅行代理店に勤務する長瀬は、得意先の中西社長に孫である慎一郎のベトナム行きに同行して欲しいと依頼される。条件は、今後の大口契約だ。自信の営業成績に直結するだけに提示条件としては悪くない。ベトナム同行の期間も一週間程度だったので、たぶんに打算的な判断から長瀬は中西社長の申し出を快諾した。
 しかし、この話しには裏があった。高校生の慎一郎がベトナムへ行きたがっている本当の理由は、4年前にベトナムで失踪した父親の捜索が目的だった。しかも、単なる感傷から申し出ている訳ではなく、偶然目にしたベトナム紀行番組に映りこんでいた実父の映像を目撃したからだった。
 更に、出国前に紀行番組を撮影したテレビ局に問い合わせてみた処、慎一郎の実父が映っていたシーンが許で現地スタッフが生命の危険に晒されていた事が判明する。何だかキナ臭い予感に囚われながら、長瀬と慎一郎,それから長瀬の親友・源内の三人はベトナムへと出発するのだった。
 現地で更に運転手としてビエン,ガイド役の娼婦・メイを雇い、謎の組織からの様々な妨害に合いながら、5人は慎一郎の実父の捜索を続ける・・・。

【感想】
 失踪した実父の捜索→そして、ついに果たした邂逅を通して、慎一郎というひとりの青年のイニシエーションが長瀬という乾いたストーリーテラーによって克明に綴られていきます。この作品の大きなテーマのひとつだと思います。
 しかも、青年はやっとの思いで再開した実父に失踪の真相を聞かされ、結果として、自分自身がこれからジュエリー・ナカニシの後継者として背負っていかなければならない十字架の重さを思い知らされることになる。
 この作品のラストで、それでも力強く前へ進む事を決意した青年の健気な姿は、ある種の爽やかさを伴なって読む者の胸を打つ。
 また、全体としてはやるせないストーリーでありながら、長瀬とメイの心の交流が作品に温かい血を通わせていて、ダーク系の色合いに華を添えるいいアクセントになっていると思います。





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最終更新日  2010年01月24日 09時07分12秒
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