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カテゴリ:産む自信も育てる自信もなかった。
妊婦生活に入る1年前、
ちょうど法制化直前の育児休業について取材をしていた。 そのときに実感したのは、 「結婚が仕事を辞める理由にはならない時代になったけれど、 妊娠・出産は仕事を辞める大きな理由になる。 仕事を続けられるのは、ごくごく限られた人」 実際に妊娠も出産も経験していなかった頃だから、 仕事以外にもいろいろなバリアが存在するとは知らなかった頃だ。 先行して制度を導入していたのは 出版業界や百貨店、衣料・化粧品メーカーなど、 女性が活躍する業種ばかり。 その中で、某百貨店で 育児休業取得後に職場復帰した女性にお話を聞いた。 「妊娠中に私の実家の近所に引っ越し、 現在は保育園の送り迎えを実家に頼っています。 子どもが熱を出したときも、実家に子どもを預けて出勤出来ますし」 はあ~。そうか、こりゃ、ダメだ。 実家の近所に引っ越さないと、今の仕事は続けられないのか。 っていうか、今の働き方は出来んのか。 目の前が真っ暗になった。 仕事を辞めることなく働き続けている 育児休業時代以前の先輩たちにも話を聞いた。 転勤で夫婦別居生活となったうえに妊娠という “苦難”を乗り越えた方のお話。 「ともかく、なんとか預け先を見つけなければと、 毎日帰宅途中の駅を一カ所ずつ降りて、 ひたすら預かってくれるところを探しまくった」 で、なんとか通勤路の途中下車で預け先を見つけ、 産休に入り、産後はまさに孤軍奮闘。 夫も実家も頼れなかったけれど、たくさんのサポーターが出来たという。 ちょっと話が先に飛ぶけれど、 娘の公園友だちのお母さんのなかには育児休業中の人がいて、 職場復帰のことでかなり悩んでいた。 夫も超多忙だし、自分自身もとても保育園のお迎えに間に合わない勤務形態。 そもそも現在の住居だって、夫婦それぞれの職場の中間点ということで決めている。 しかも通勤には、自分達が許せるぎりぎりの時間がかかる。 実家は気軽にサポートを頼める距離とは言い難い。 ともかく仕事を続けるべく邁進し続けた先輩たちの頭の中には 「仕事を辞める」という選択肢そのものがなかった。 なまじ育児休業なんていうインターバルが設けられているがために、 はっと我に返って(?)、「辞めちゃおうかなあ」なんて考える。 それでいいのか? 育児休業制度。 そんなことを思った。 果たして、育児休業中の公園友だちは仕事を辞めた。 折しもバブル崩壊直後。 彼女の勤務先にも少なからず影響が出ていた。 休業中の出勤日に、上司とゆっくり話したそうだ。 「もちろん君に戻って来て欲しいけれど、 内部の環境も変わってしまったし 以前のような仕事は出来ないと思うよ。 思い通りの仕事が出来ないのを我慢して仕事を続けるよりも、 今このときも君のことを最も求めているお子さん最優先で 大切な時間を費やしたほうがいいんじゃないかな。 まだ若いんだし、この先仕事はいくらでもあるよ」 言い方はソフトだけれど、この内容は解雇勧告に等しいぞ。 いいのか? こんな発言をして。 彼女にはそんなことは言わなかったけれど、私は不愉快だった。 実家の近所に引っ越せないと書いたけれど、 それは私の実家のことであって、実は夫の実家は 住んでいたマンションのすぐ上の階にあった。 ただ、価値観も考え方も大きく隔たりがあって、 いい方ではあるのだけれど とても一緒に子どもを育てようという気持ちになれなかった。 だから、育児の助っ人リストに夫の実家は入らない。 ゆえに、目の前真っ暗というのが、当時の私の正直な気持ち。 何と贅沢で傲慢だったことか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.04.28 10:50:33
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