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2006.12.27
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カテゴリ:子どものミカタ
話題のスポットで、別の話題のスポットの話をする。

お子さまたちに職業疑似体験をしていただこうという
例のスポット。

おとなたちの話を聞いて、
在米3年のお嬢さんから質問が。
「ねえ、お医者さんになったら、
 誰かを診察するの?」

患者という職業はないからねえ。
「……」
しどろもどろのおとなを尻目に、
「遊びなんだ」
と件のお嬢さん。

そうだよ、所詮遊びなんだから、
おそらくお人形のおなかに聴診器を当てるんだよ。
手術なんて、絶対に出来ないよ。

職業体験と言うと、なんとなくよさそうな雰囲気が漂うけれど、
疑似体験に過ぎず、
おっしゃる通りの真似っこ=遊びの延長。

ねえ、Childrens Museumってあるよね?
「お店やさんごっごのあれですよね」
そうそう。アメリカじゃ、珍しくないよね。
「日本って細かすぎるかも」
うん。やり過ぎかもしれない。

在米3年の母と私とで、あうんの境地。
(そこんところは生っ粋の日本人さ)

何が言いたいって……。
つまりはこういうことさ。

子どものための居場所の一つとして
北米などにはChildrens Museumがある。
museumとは言っても、
お子さまが楽しく過ごせることに重点が置かれていて、
そりゃあもう、楽しく遊べる。

特にスペースが割かれているのが、
本格的なお店やさんごっこのスペース。

例えば靴屋さんには、
ご近所から寄贈された履き古された靴が
棚に並ぶ。
クリニックでは、診察台はもとより
白衣や聴診器などのコスプレ=形きりグッズのほかに、
白紙のカルテなども用意されている。
エンターテナーになりたければ、
緞帳つきの舞台もあって、
楽屋には色とりどりの衣装が並んでいる。

いやあ、子どもの頃にこういう場所があったら、
楽しいというより、ものすごく嬉しかっただろうなあ。
だって、本物そっくりの舞台やお店を作るのに苦労したんだもの。

で、実際にかの地で娘と共に体験してきたよ。
おとなに付き合わされて、くたびれ感が漂っていた娘の瞳が
ちょっとだけ輝いた。
でも、一緒に遊んでくれる友だちがいなくて、
最終的にはおみやげ=物欲に走ってしまった。

そのときの同行者が一言。
「何だか嫌だわ。
 こんなに何でもそろっていたら、
 想像力もかき立てられないし、
 創意工夫も生まれないじゃない」

まあね。
わが家でも、お店やさんごっこが流行っていた時期があった。
『無いものは作ろう』というルールの元で育てたから、
何でも作ることに意欲を燃やす娘は、
引き戸を利用して、うまくお店の台を作った。
開店中は、引き戸の向こうへは入れなくて
おとなは、とても困ったのだけれど、
お子さまたちは大喜び。

もし、近所にChildrens Museumがあったら、
あの工夫は生まれなかったかもしれない。

というようなことを瞬時に振り返り、
件のお嬢さんの一言で
私の頭に喝が入れられたような気がした。
日本のおとなを代表して。

何でも物が揃っていること。
転ばぬ先の杖で、先に手を出してしまうこと。
絶対に不幸な子どもを育てる。

車のハンドルと同じだよ。
そこに“遊び”がないとね。





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Last updated  2006.12.28 00:54:15
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