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カテゴリ:愛すべき仲間たち。
その論文が発表されたとき、
私はまだ大学一年生だった。 けれども、そのインパクトのすさまじさについては 充分理解出来る。 「母親意識の発達に関する研究」 それまでの、世の中の勝手な思い込みを 180度転換させるに充分なインパクト、 衝撃度の高い論文だった。 子育ての負担感に押しつぶされてノイローゼ状態に陥る 「育児ノイローゼに共感出来る」と答えた回答が 実に六割を超えたと、書かれていたのだ。 当時、母親による子殺し、子捨ての代名詞が コインロッカー・ベビー。 今で言うネグレクトの最たるものだ。 それが社会的問題のひとつになっていた。 今、1970年代の気分をリアルに語れる人は どのくらいいるんだろう。 その時代を共有出来た人には コインロッカー・ベビーのことも、 先の論文のインパクトについても、 充分にご理解いただけるはずだ。 その研究論文は、1988年に一冊の書籍として 世に出される。 昭和の最後の年。 1980年代に私が何をしていたか と言えば、某出版社の編集部員として 月刊誌の「子育て談義」という著名人インタビューを担当、 その2年後には企画を「健康談義」に変えて リニューアルさせた。 その理由? 別に子育てのことなんて聞きたくなかったし、 取材対象範囲を広げるのに 子育てというテーマが邪魔だった それだけのことだ。 1991年、ようやく育児の当事者になる。 早産で極小未熟児を産み、 育児のスタート時点からしてマイナスのスタート。 けれども、「僕も未熟児だったんだよ」というカミングアウト から始まって、極め付きは夫の大伯母が未熟児だったこと。 天寿を全うなさった元未熟児の存在は心強かった。 スタートがスタートだったから、 平均数値はすべて捨てた。 今日が元気であれば、それでよしの育児。 これはとても楽だったよね。 もひとつ、母性神話って奴。 女性は本能的に育児に向いているとか、 過剰な母親礼賛の罠に気づけたこと。 これも大きかったよ。 「仕事と子どもとどっちが大事ですか?」 なんて阿呆な質問が当時ははやっていた。 それも、世界的なオペラ歌手にするんだよ。 アホか、 と思った。 そんな質問をされた男性がいるのか? そんなことで悩んでいたら、 生活が成り立たない家庭がいくつ出たことか。 はっきり言って、日本亡国論だよね。そんな質問。 その愚問のあほらしさに辟易しているうちに 母性神話の呪縛が溶けた。 これは陰謀だ! で、いまだに、その神話に苦しめられている母親が いるらしい。 まじ? そんなことで、少子化対策大丈夫? 悪いけど、そんなことじゃ、誰も産んでくれないよ。 そこのところを知りたくて、 現在調査中。 もし、「いまだにそうだ」という結論に達したならば、 自らのからだ、命をなげうって 新しい命を産み出す女性のこと、 本人たちに真摯に声を聴いて、 もっともっと、 まじめに考えてくれ! と世間に大々的に訴えたい。 そうだね、そこで偉そうにご発言の紳士とか、 物知り顔の老淑女には、ぜひ、ご理解いただけるよう お話に伺わせていただきたい。 ま、私が生きていられない先のことは責任持てない。 でも、その先を生きる娘がいることでもあるし、 ここのところは、きっちりご理解いただき、 若い人たちに手を差し伸べてもらいたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.03.25 01:02:40
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