amazing baby

「お盆の帰省ラッシュがピーク」
と、報道されるその日がやってきた。

わが家もご多分に漏れず、海辺の町へ向かう。

いつもと違うのは、夕方の便で出かけること。
片付かない仕事があったり、
なるべくできるところまで進めておきたいことがあったり、
おとながともかく慌ただしかったせい。

そうそう、私は執刀してくださった医師の診察日で
「はい、入浴を許可します」と
申し渡されにも行ってきたしね。

娘は、さっさと旅支度を済ませて
だらだらと退屈モード。

こういうとき、ワンコの散歩に行っておくとか、
気を利かせてくれると有り難いのだけれど、
暑さに負けてるから、期待はできない。

母から電話がかかってくる。
何やらご所望の品が有るらしいよ。
いつもと勝手が違って夜到着だから、
お店がどのくらい開いているのかわからず、
どこまで母のご要望に応えられるか
はなはだ不明。

夕方の羽田空港は、予想外に空いていた。
みんななるべく早い便で
と早めに出発したんだね。

母ご所望の品は日用品だから、
羽田で買えるものじゃなし。
少し早めの夕食を食べただけで、
そそくさと搭乗口へ向かう。

これが、一番端で、
ものすごく遠かった！

リムジンバスが恋しかったなあ。

途中ものものすごく黒い雲の固まりを横目に、
なんとか目的地へ到着。
直前に雨が降ったらしく、滑走路が濡れていた。

さて、母の買い物は大丈夫かしら？
辺りはだんだん暗くなってくる。

が、いざ、レンタカーに乗り込んでみると、
あったわ、全国的規模のショッピンブモールが。
おまけに夜11時まで開いてるんだって。

不夜城のごとくの店内は、
かなりの人出。
みんな帰省してくるから、
こちらは逆にかき入れ時なんだよね。

でも、敢えて口に出して言ってみる。

「人口が少ないのに、
　田舎なのに、夜遅くまで店が開いてるってのは
　どうよ？」

だって、地元のスーパーマーケットも
10時までは開いてるらしいんだもの。
みんなどこへ行くにも車を利用するというのは
充分わかってるから、
確かに家と家とが離れている分、
いざというときにお店が遅くまで開いてるというのは
こういう場所こそ、有り難いかもしれない。

でもなあ……。

月明かりがやけにきれいな海沿いを走る。
流星群、見られるといいなあ。

海辺の家に到着したら、
「雨？　ほとんど降らなかったわよ」
ですって。

空港から車で1時間、ですから、
雨雲から外れちゃったのかしら。

明日は明後日の法事の準備。
暑いの嫌だなあなんて言ってはいられない。
私たちは略服でOKだけれど、
神主さんは装束をお召しになる訳なのだから。

ワンコは、先月すっかり親しくなった母と再会。
吠えもせず、大人しく尻尾を振っていた。

ちゃんと覚えていたのかしら。

かくして、わが家の海辺の夏は
今年も幕を開けたのでした。