「事件・事故」と「自殺」は全く違います!!
今年度の「自殺予防週間」は今日で終えます。精神的に疲労が蓄積し、不快感な一週間でした。当民間団体は「自殺総合対策大綱」に盛り込まれている<マスメディアの自主的な取組への期待>はありません。この度、本道で起きた不可解な問題に対して、報道機関の伝え方はそれぞれ違います。特に表現がおかしいと感じたのは「自殺を図った事件」です。「事件・事故」と「自殺」は違います。「自殺」の場合、万が一起きた時に取り組む事後対応(ポストベンション)があり、「自殺連鎖」の防止にも取り組む必要があります。1人の自殺によって強い絆のあった人の最低5人は深刻な状態を受けると、高橋祥友氏は著書等で述べています。また、この不可解な問題に対して「心中」という言葉も使われましたが、報道機関は間違った情報を社会に発信しました。現在、「心中」という言葉は、さまざまな意味に広く使用されている。すなわち、その中には、母子心中や一家心中をはじめ、夫婦心中、狭義の異性心中、同性心中、後追心中、合意心中、無理心中など、いわゆる複数自殺がすべて含まれている。しかし、厳密にいって、心中とは「同一の場所で、同時に二人以上の者が、ともに自らの意志による合意の上で、同一目的のもとに自殺する場合のみを指す」と定義されなければならない。その意味からすると、母子心中、一家心中、無理心中など、殺人を伴う自殺には、「心中」という言葉を使用すべきではないことになる。『改訂版 自殺のサインを読み取る』(高橋祥友著・講談社文庫 36頁)報道機関が報じる自殺報道(「心中」を含めて)は、正しくないのであります。今年度の「自殺予防週間」はいくつかの問題提起を与えてくれました。次につながる取り組みに生かしたいです。※機会あるごとに報道機関を当ウェブサイト上で批判していますが、批判する最も大きなきっかけとなったのは、今年上半期に起きた硫化水素ガスによる20代・30代の若者が次々と自殺をしていったことであります。報道機関は取り返しのつかない深刻な事態を招いてしまったことを忘れ去ろうとしているように思えてなりません。