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文の文

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めもめも

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☆バッテリー   01/18

バッテリー4まで読了。

ひとりの中学一年生
天才ピッチャーがまわりの人間を変えていく。

その球を受けるキャッチャーの恍惚と挫折。
その球に魅せられた人間のこころの動き。

天才を天才と認める才を持ち
幸福感とともにその天才とかかわる人間の
光と影。

サリエリの不幸だな。

ひとりのモーツアルトの影に
99人のモーツアルトがいる、と書いたのは
原口統三だったろうか。

☆100円だなんて。   01/19

友人との電話していて
ブックオフの話になった。

100円本救出話をすると
友人もあるある!と言った。

神谷美恵子さんの本が100円だなんて!
と腹が立って
同じ本が家にあるのに買って帰ったという。

そういう年代なんだな。

☆彼の流儀   01/21

ブックオフで買った
沢木耕太郎さんの「彼らの流儀」を読む。
これは新聞連載をリアルタイムに読んで
そのあとも本を買って読んだのに
ほとんど覚えていない。

わたしの活字の記憶はとてもはかない。

「胡桃のような」まで読み進み、
ラインを引きたくなって立ち止まる。
それは63ページにある一節だ。

「胡桃のように堅牢な人生を送れるのは
そんなふうに生きることが
何か特別なことだなんて思わない人だけなのだよ」

立ち止まってみて、63ページまで
そういう言葉に出会わなかったことに気づく。

それでもじわじわとそれぞれのひとの流儀が
染みてきていた。

うたわないこと。
事実に語らせること。
普通の言葉の力を信じること。
自分の目線を信じること。
それが沢木さんの流儀かもしれない。

沢木さんの文章を読むと
いつもそういうことを
静かに教えられているような気がする。


☆さっくりと切り取るもの。   01/22


沢木耕太郎さんの「彼らの流儀」を読み続ける。
ほとんど覚えていないと思ったがこれは、っと思い出す話もあった。

アメリカの大学を卒業したふたりの若者が
就職せずにレスリングでオリンピックを目指すという話は記憶の淵にぶら下がっていた。

記事を切り抜いた覚えがあった。
彼らが淡々としかしひたむきに練習する、その姿の描写に感動したのだった。

暮れに古い手帳の男名前を新しい手帳に書き写す女性の話も誰かに言われて思い出したことがあった。

都会にひとりくらす女性のこころの襞が手帳を通して伝わってくる話だった。

そんなふうに、さりげない出来事、なにげない動き、しぐさ、こともなげな言葉、それぞれの一瞬がさっくりと切り取るもののなかに、ひとのありかたが浮かんでくる。

人生とでも呼びたくなるものが垣間見えてくる。

そういう筆の運びが沢木さんなんだろうな。


☆ 光の帝国   01/23

恩田陸さんの「光の帝国」を読み始める。

超能力というのか
不思議な力のはなしはだいすきだ。

そのちからの光と影を
短編で連作していく。

このありかたも好みだ。

月はいつでもそこにある。
ひかりのあたり具合や見る角度で
ちがって見える。

短編ごとの手法がいい。

沢木さんの「彼らの流儀」のあり方もそうだった。
ひとりのひとのためのひとつの形。

切り口にこだわりがない、というか
同じ切り口にしないというこだわりかもしれないが
月が日に日に姿を変えるような
構成は巧みであり鮮やかであり
同時に自然であらねばならんだろうと思う。

ひとりひとりのおはなしが
意味のある束になったときの強さはどうだ。

恩田さんの「常野もの」は3部作になっているそうだ。
なんだかわくわくしている。

☆ 読了   01/25

恩田陸さんの「光の帝国」読了。
面白い。わくわくする。どきどきもする。
類似の作があってもおかしくはないかもしれないが
これはこれで成立しているなあと思う。

このひとの話の運び方はうまい。
短編が重なっていっても破綻がない。

しまう、だとか、裏返す、だとか、草、だとか
キーになる言葉が特別な言葉ではないのもいい。

裾野の広い山のようだ。
上に積みあがっていくのは
いずれ稜線の美しい山だろう。
たのしみだ。
二部三部と読み進みたい。




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