私の居場所 番外編 エデンの物語6
6エデンはノートパソコンから目を放し、空を見た。見慣れた部屋の天井が広がっている。今やってるオンラインゲームは、ゲーム中に自分が扱っているキャラクターが死ぬような事があれば、セーブした所からやり直しがきくようになっている。だが、死ぬ度にキャラクターのレベルが下がる仕組みになっている。その為、プレイヤーはゲームのキャラクターが死ぬ事を恐れている。能力が大幅に下がってしまうのだ。エデンは窓の外を見た。新聞配達員が近所の家に新聞を配る姿が見える。「もう朝なの」エデンはぼんやりと呟いた。オンラインゲームにはまって以来、昼夜逆転してしまった。特に仕事もしていないし、親に養ってもらっている身分だし、一日中パソコンに向かう生活にももう慣れた。エデンには妹がいる。妹は生まれつき病弱で、入退院を繰り返しており、母は何かと妹に付き添う事が多かった。エデンはお姉ちゃんだから我慢しなさいと、言われながら育ってきた。お母さんに、もっとかまってほしくて仕方なかった。お父さんはいない。いつも、家でお留守番。一人で何度も泣いた。こんな環境のせいで、エデンは人に素直な感情を表せない大人になっていった。よく、他人からはしっかりしてるねって言われてきた。だけど裏では、冷たい人間って言われていたのも知ってたし、いろんな人から苦手意識を持たれているのもわかっていた。口を開けば、嫌みばかり言ってしまう。人と深く付き合った事なんてない。だけど本当は、いつだって寂しかった。今日も、いつもと変わらない一日が始まる。エデンは部屋にある冷蔵庫からジュースが入ったペットボトルを取り出すとそれを一気に飲み干し、再びノートパソコンにむかった。