私の居場所 番外編 エデンの物語4
4ギルドバトルが終わった後、ヒロは終始イライラしているように思えた。真っ直ぐな性格のヒロからしたら、作戦負けしたようなギルドバトルは苦痛だったに違いない。ギルドバトル会場から外に出ると、あっという間に日は落ち、夕焼け空が広がっていた。この時間になると、黒い羽を持つ鳥のモンスター達が大量に現れ、その黒い羽で空のオレンジ色を埋め尽くす。今日もいつものようにそのモンスターが現れ、エデン達に向かって襲いかかってきたが、「ギャー!!」悲鳴をあげたのはモンスターの方だった。ヒロが怒りに任せて、短剣を投げ、それはモンスターの眼にブスリと刺さった。視界を失ったモンスターはよろよろと地面に落ちた。通路を塞がれたヒロは、さらにイライラして瀕死のモンスターの体を斬りつけた。モンスターは絶叫し、息絶えた。「弱い者に当たってどーする。少し落ち着け。」クロノスはヒロをなだめるように言ったが、ヒロの耳には届かなかった。エデンは隣を歩くヒロを、横目で盗み見た。眉と目はつり上がり、明らかにむすっとしている。とても話しかけられる雰囲気ではない。ギルドホールに着くと、ヒロが溜まっていたものを吐き出すかのように、汚ねえ戦いしやがって!と、ぶちギレて物にあたりまくった。ギルドホールの中央にあった石像は砕かれ、破片が床に飛び散った。「おいおい、物に当たるなよ」クロノスに注意されたのが気に入らなかったのか、ヒロは会議室のイスを蹴り倒した。私は、こんなヒロは好きじゃない。たまらず、エデンは口を開いた。「ちょっと、大人げない事止めたら?何も考えずに突っ込むからよ。皆単細胞だから仕方ないわ。」「なんだと!!」「そうじゃない。だから最初からギルドバトルなんてやっても、負けるって言ったでしょう。私は反対だったわ。」エデンは冷たく言い放った。ヒロは無言で、イスを蹴り倒す。静かに睨み合いが続き、怒りの矛先はエデンに向けられた。「お前なんて、人の武器に変身して正々堂々と戦おうとしなかったじゃねーか!そんな奴に言われたくねー。」「あれは正当な魔法使いの技よ!それをとやかく言うのはおかしいわ!」二人の言い争いは、しばらく続いた。それを見かねたクロノスが、ようやく口を開いた。「ヒロとエデン、いい加減にしろ!!当分お前達はギルドホールへの立ち入りを禁止にする。それから、しばらくギルドバトルはやらない!各自技を磨き、次回までにレベルアップしておくこと。以上!」「うざっ。なんで私まで立ち入り禁止なのよ!」 ヒロはエデンの横を無言で通り過ぎると出口付近にいたアヤカに話しかけた。「だとよ、一緒に狩りできなくなるけどごめんな。」ヒロは、そのまますっと出口へ向かった。エデンも、ヒロの後を追うようにしてギルドホールを後にした。