犬犬こわい
820年にはイギリスのJohn ParisがThaumatrope(ソーマトロープ)を発明します。これは今でも子供の雑誌の付録にあったりしますが、団扇の表と裏に例えば、鳥の絵と鳥かごの絵を描いておいて、ぐるぐる回しますと、二つの絵が重なって鳥かごに入った鳥の絵が見えるというものです。1832年にJoseph Plateau が考案したPhenakistscope(フェナキストスコープ)がいわば映画の直接の祖先ということになるかと思います。これは2枚の円盤を使う物ですが、1本の軸に通した2枚の円盤の一方に絵を描き、他方にはスリットをいれておきます。これで盤を回転させると、動くスリットを通して絵を見ることができます。これは近年日本では「おどろき盤」の名前で紹介され、作品が作られています。2年後の1834年にはWilliam Hornerが円盤ではなく円筒を使ったZoetrope(ゾートロープ)を発明しました。これはスリットの入った円筒状の機械の内側に絵を描き、それを回転させて中の絵を見るものですが、Phenakistscopeに比べてハンドルで回せるため慣れていない人でもうまく動画を見せることができるようになっていました。1877年にはこの流れの最高傑作となるPraxinoscope(プラキシノスコープ)がEmileReynaud により発明されました。基本的にはZoetropeの方式なのですが、映像はスリットではなく鏡を使って映し出されるため、スリットを通して見るよりも楽に動画を見ることができるようになっています。Reynaudは1892年にこの方式を使った劇場 Theatre Optique をパリに作りました。一方1878年にEadweard Muybridgeは初めて「撮影する」という技術を開発します。彼は12台のカメラを時間差で「シャッターを切る」というやり方を考案し、これで馬が闊歩する様子をフィルムに収めました。そして1891年にThomas Edisonの助手 W.K.L Dickson はコダック社の35mmロールフィルムに撮影した動画を見ることができるkinetoscopeを発明します。これが初めて十数コマという短い動画ではなく、ある程度の長さを持つ物語を上映する可能性を生み出したのでした。リュミエール兄弟のcinematographeが画期的であったのは、ひとつは投影方式にすることで多くの人が同時に動画を見ることができるようになったこと。もうひとつは、機械がとても小型で(普通の静止画用のカメラとほぼ同サイズだった)、どこにでも持ち歩けたことです。エジソン達のkinetoscopeは大型で、移動させるのもなかなか大変であったようです。なお、リュミエール兄弟にわずかに遅れてアメリカのCharles Francis Jenkinsも同様の投影式の動画映写機 Vitascopeを発明しています。現代の映画の映写機はどちらかというと、こちらの流れを汲んでいます。