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テーマ:仕事しごとシゴト(23336)
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わたしの仕事上、抗がん剤を扱うことは避けられない。 患者さんたちにとっては 苦しいながらも抗がん剤は癌に打ち勝つためのひとつの手段である。 しかし、クスリというものは利点があれば欠点もあるというのが常識である。 抗がん剤の場合、欠点はどこにあるのか。 使用する患者さんにとっては命の綱でもあり、副作用は当然つきものではあるが使用できることは利点である。 ところが、抗がん剤には周囲に及ぼす危険があることはそう公にはなっていない。 抗がん剤を使っている患者さんと偶然同じ部屋に入院した癌ではない患者さんの尿中から 発がん性物質が検出されることは珍しくはない。 そして、抗がん剤を扱うナースやDr.の体内からも発がん性物質が検出されている。 研究によると、化学療法を頻繁に行うナースのほとんどが抗がん剤に汚染されているということが立証されているのだ。 シクロフォスファミド(以下CP)は血液内科や消化器内科、小児科などでも多く使われる抗がん剤のひとつなのだが、これは空気中に揮発することによって吸入したり、皮膚につくことによって皮膚から吸収される恐ろしい抗がん剤である。 このクスリを点滴で受けている人の側だけが危険なのではなく、調剤された点滴を持ち歩く通路、この患者さんの排泄物のある場所、廊下、室内、点滴台、そしてそれらを扱うナースの手が触れる電話機、ナースステーションの冷蔵庫の扉…いたるところにCPがばら撒かれているといっても過言ではない。 こういうところで長期にわたって妊娠中のナースが仕事をしていたらどうなるか…。 もちろん、知らず知らずに抗がん剤の曝露を受け続けていることになり、 胎児にも影響があると報告されている。 患者の面会人はそのクスリに曝露されたまま自宅に持ち帰り、家中に抗がん剤を撒き散らすことになりかねない。 ここでキチンと書いておかなければならないことは、このクスリに限らず抗がん剤は少なからずどのクスリでもこのような影響があること、そして24時間~48時間で尿中に排泄されることである。 だから、まったく身体に残ったままにはならないということだ。 ただ、成人の場合はそれでもいい。小児の場合はどうだろうか。 小さい子供を連れて面会にやってきた場合、子供は床に寝転んだり、あちらこちらを触ったりすることが多い。 これを見過ごしてはならない。 必ず病院に面会に行ったあと、受診に行ったあとは手洗い、うがいをさせること。 まずはこの作業だけで少しは難を逃れられる手段となる。 わたしたちの病棟の研究グループはこの『抗がん剤の曝露』の研究を今すすめている。 前述したCPは曝露の段階では1級であり、アスベストと同格である。 つまりアスベストを振りまいた状況下で仕事をしているのと同じことなのだ。 使用している段階では何も起こらなくても、長年積み重ねることによって影響が出る。 これはまだ検証の段階ではないのだが、当病棟で全く抗がん剤を扱わない看護助手が原因不明の喘息発作を起こしている。 看護助手は約7年うちの病棟に勤務しており、薬品を薬剤部から運搬し、病棟で揮発した抗がん剤を吸入し続けていることになる。 今回の研究ではこの看護助手の尿検査をすることで代謝されずに残るCPの値を検出してみることが今後のわたしたちの身体を守る第一歩になるような気がする。 もちろん、実際にクスリを扱っているわたしたちも同様に尿検査をうけることになる。 この結果は全国学会に発表することになるのだが、結果次第では看護学会はちょっとした騒ぎになるかもしれない。 癌じゃない人も知らずに受けるがん治療。 百害あって一利なしとはこのことだ。 つまり、癌になりたい人は 毎日抗がん剤を受けている人の側でクスリの入ったボトルを触り続け、床を這いまわればいいということだ。 どこかで癌の種を拾えることは間違いない。 癌になりたくない人は、抗がん剤の治療を受けた人の面会に行く際にはマスクをしよう。 病院の手すりには触れない。床には手をつかない。トイレの排水レバーにはじかに手を触れない。 病室の入り口によくあるアルコールジェルを手に刷り込んだ位じゃ何も変わらない。 あれは細菌の働きを弱くするだけで 抗がん剤は拭い去ることはできない。 病院を出たら流水下で手洗いをしよう。 これは癌の患者さんに対する偏見でもなんでもない。 薬剤に対する偏見でもない。 このたいへんな薬剤を身体に取り込んで治療に耐えている患者さんへの敬意と 自己防衛の気持ちを行動で示すことが何よりも大切なのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
それは発表のしかたを注意しないと大変な騒ぎになるよ。
また ヘタすりゃ握りつぶされかねない。 まあ 抗がん剤にかぎらず、病院内は細菌だらけだし、重症患者のいる病棟は、より危険性は高い。 毎日そこで働いている人は、当然その洗礼を受けてるはず。 看護師なんかは、たいてい何かをもらっているはずだしね。 それが体調不良のときに発症することも珍しくない。 てなわけで、体調管理に充分注意を・・・ (Oct 27, 2006 03:37:33 PM)
全然知りませんでした。
本当に怖いですよね、だから病院によっぽどの理由なく幼児や乳児をお見舞いに連れてゆくのは止めるべきなのですよね。 結構小さい子供達が騒いでいても注意しないお見舞い人が多いのには驚かされます。 その子供達だって抗がん剤だけじゃなく普通の病原菌やウィルスに晒される危険が大きい訳だし。 最後に書いてある、「このたいへんな薬剤を身体に取り込んで治療に耐えている患者さんへの敬意と 自己防衛の気持ちを行動で示すことが何よりも大切なのである」よく覚えておきますね! (Oct 27, 2006 06:49:28 PM)
私にはそれは医療側の単なる延命治療に過ぎないように思えます。抗がん剤を使っても、
癌は根治が不可能なのではありませんか? 頼りない命の綱を握って抗がん剤を投与して、それで善しとする、その医療の害悪が、 ここには暴露されているようであり、院内感染をもしも加速度的に促進させる ものなのだとしたなら、抗がん剤の投与などということは、危険極まりない。 または周囲に迷惑をかける困った患者の一人なのではないでしょうか。 抗がん剤は癌細胞を殺す薬。……であると同時に正常な細胞の一部をも同時に殺してしまう薬。 病院へお見舞いに行く、という行為がリスキーであるならば、抗がん剤を投与されている患者さんには、 何らかのマーカーで、健常者に警告を与える義務が医療の側に要求される、と思います。 (Oct 27, 2006 11:10:27 PM)
握りつぶされないように伏線を張ってますよ。
そのあたりはぬかりなし! この研究には前行研究があって、それではまだ確定されたものがないので今度は確定に踏み込むわけです。 協力者は偉大なる薬学博士がいるし、海外の医学博士もこれに参加してる。 もう握りつぶしようがないですね。大丈夫!! (Oct 28, 2006 03:02:43 AM)
そうなんですよ。あまりにも無防備な子供連れの親が多すぎるんです。
でもこれが全国的に知れたらもうそんな心配はしなくてよくなるかもしれません。 この研究を進める理由のひとつは抗がん剤を扱う医療者の心構えひとつでかなり曝露は軽減されるという目的があるからです。 わたしたち医療者も正しい扱い方を学べば床にこぼしたり、無防備に持ち歩いたりしないはず。 これをみんなに分かってもらうためにがんばります。 (Oct 28, 2006 03:07:48 AM)
抗がん剤で癌は根治可能か…。う~ん、それは全てが可能ではありません。しかし不可能ではないともいえます。
医療者側の延命治療と言ってしまえばそれまでですが、インフォームドコンセントが必須となった今では、患者さんが治療を選ぶことができます。 これを無視して医者が自分の思うように治療をすすめるなどは言語道断で、おそらく今の医療では確立できないでしょうね。 抗がん剤は癌細胞を殺す薬。……であると同時に正常な細胞の一部をも同時に殺してしまう薬。 これはまさしくそのとおり。Heikさんならよくお分かりでしょう。 何らかのマーカーで、健常者に警告を与える義務が医療の側に要求されるというのは今後必要なことでしょうね。 わたしたちは結果としてそうなることを目指して研究を続けています。 いつかこの研究が日の目を見ることを期待してるんです。見守ってくださいね。 (Oct 28, 2006 03:15:52 AM)
それにしても、今世間を騒がせている、癌細胞に侵された腎臓を移植手術していた、
こんな病院って、酷いと思いませんか? 金儲け主義としか思えない。 人工透析は確かに辛いと思う。3日に1度でしたっけ、寝たきりの拘束時間に縛られる。 だからといって、癌に汚染されている、と患者の同意の上であっても、 移植はすべきではない、と思う。 なんだか医師は臓器の切り貼りをやりたくて、 仕方のない、そんな生き物のように思えて怖いです。 今回の事件は病院側の明らかな勇み足ですね。 臓器移植学会からさえ批判されているのですから。。。 (Nov 5, 2006 11:32:13 PM)
>とりあえず、伝えないと・・・
そうですよ~。危険なんです、本当に。 しかも化学療法をする看護師や医師でさえ正しい知識をもたずに行っている場合もあります。 知らなかった…では済まされないことですよね。 コワイ世の中になりました…。 (Nov 6, 2006 12:45:49 PM)
>癌細胞に侵された腎臓を移植手術していた、こんな病院って、酷いと思いませんか? 金儲け主義としか思えない。
あら、知りませんでした。移植するはずの腎臓を誤って破棄した…というのは知っていましたが…。 でもその話はひどいですね。透析と腎臓癌。同じくらい辛いけれど、透析患者さんは制限は厳しいけれど生きるために透析を受けているんですものね。 癌に侵された腎臓をもらったんじゃわりに合わないってもんです。 確かに切り貼りして活用できる臓器もあります。でもこれって神秘じゃないですかね。 この頃は人工心臓も高機能になって昔のように血栓が出来にくくなったそうです。 人の手で創られたもので細胞の塊の代替ができるなんてすごいことです。 移植についてはわが病棟でもいまだに賛否両論ありますが患者さん本人が望むことなので、わたしたちは出来る限り協力していきたいと思ってます。 (Nov 6, 2006 12:57:24 PM)
私の記憶が定かであれば、最初の報道では「癌細胞に侵された腎臓を病人に移植」って、
ニュースでやっておりました。でもその後マスコミはトーン・ダウンして「病気に侵された腎臓を移植」 と変化したように思う。 もうそろそろmonkeyさんの耳にもニュースが入っていると思われるのですが、 一体真実はどこにあるのでしょうか。いずれにせよ廃棄寸前の臓器でもいいから移植してくれって 頼む患者さんには、本当にお気の毒です。病気なんて、いい病気はありませんよね。 どの病気に苦しんでいる患者さんも、今現在も病院には多数入院されていることを思うと、 健康って本当にありがたいことなんだな、と実感します。 最近、いじめで自殺する中学生が多いでしょ?もったいないですよね、命が。。。 命の値段が最近とみに暴落しつつあるような、そんな気持ちが致します。 (Nov 14, 2006 04:41:51 AM)
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