Everyday is a happyday♪

Everyday is a happyday♪

サ行(雫井脩介 他)

沢木耕太郎

「無名」 


【内容】
一日一合の酒と一冊の本があれば、それが最高の贅沢。そんな父が、
夏の終わりに脳の出血により入院した。混濁してゆく意識、肺炎の併発、
その後在宅看護に切り替えたのはもう秋も深まる頃だった。秋の静けさ
の中に消えてゆこうとする父。無数の記憶によって甦らせようとする私。
父と過ごした最後の日々…。自らの父の死を正面から見据えた、
沢木文学の到達点。(「BOOK」データベースより)


沢木さんの作品を、正面きって読んだのは今作が始めてです。
彼はスポーツを扱った作品が多いので、スポーツ音痴の私としては、
ついつい敬遠しちゃうんですよね(+_+)

それでも、たまに彼の文章を雑誌などで眼にすることあるんですが
・・・どうも、彼のサッパリしすぎた文章センスが、いまひとつ肌に
合わなくて途中放棄すること多し~^^;

もともとノンフィクションは、どうも苦手分野です。
日頃、面倒くさいことは排除して、あまりかかわりたくない「現実」
には、意図的に目をつぶって通り過ぎている私。
ノンフィクションを読むと、その現実と向き合わざるをえなくなる
なったりするじゃないですか?
臭い物には蓋、とばかりに、出来るだけソッチ方向は避けてしまいがちです(^^;)ゞ

そのてん、フィクションの世界は、作者の作り出す世界に
身を任せていればいいからラクチンなんですよね~♪

でも、最近、老いを重ねてる両親を見るにつけ、今後のことが
頭に重くのしかかってきているせいか「父の死を正面から見据えた」
この作品に、思わず手が伸びてしまいました。

読書と酒が好きで俳句もたしなんでいた沢木さんのお父さん・・・・
読めば読むほど義父との共通点が多くてビックリでした
それだけに、淡々と描かれている、ご家族とお父様との別れが
とても深く心に染みました。

人間だれしも、いつかは通らねばならぬ「親との別れ」ですが、
ここまで静かに、そして親の気持ちに寄り添いながらお別れが
できるなんて素敵なことだと思いました。

====================================
雫井 脩介

『火の粉』 

【内容】
元裁判官で、現在は大学教授を務める梶間勲の隣家に、かつて
無罪判決を下した男・武内真伍が越してきた。愛嬌ある笑顔、
気の利いた贈り物、老人介護の手伝い...武内は溢れんばかりの
善意で梶間家の人々の心を掴んでいく。手に汗握る犯罪小説の
最高傑作。(「BOOK」データベースより)


以前、知人に激烈オススメ本として紹介されていた本です。
「読んだら本当に止められない、とんでもなく面白い」という
言葉どおりの作品でした^^

が・・・・・私としては冒頭部を読んだだけで、その後の展開はおおよそ
見当がついてしまうところが、やや減点^^;
おまけに登場人物達の鈍感さ具合が、どうにももどかしくてイライラ
しちゃうので、またまた減点・・・
というわけで、「面白いんだけど、イライラ度数の高い」小説として
記憶に留められてしまった作品です(爆)

しかし、老人介護に関しての記述は実に切実で、なんとも身に染みる
お話でした
このへんのところは「介護=女・嫁の仕事」と我関せずを決め込みがちな
男性諸君に、おおいに読んでいただきた~い!!(叫)>(^|0|^)



『犯人に告ぐ』

【内容】
連続児童殺人事件-姿見えぬ犯人に、警察はテレビ局と手を組んだ。
史上初の、劇場型捜査が始まる。(「BOOK」データベースより)


雫井さんの作品の中ではコチラがイチオシ~~☆\(^0^)/

6年前の児童誘拐事件での失敗以来、アウトサイダー的な人生を歩んでいた
主人公の特別捜査官・巻島史彦が、心の葛藤を抱えながら、劇場型捜査指揮官としてTVでケレンミたっぷりに犯人に挑戦メッセージを送り続ける・・・・というかなり派手な展開が、実に新鮮でした☆

おまけに、この巻島警視のキャラクター造形がなんとも魅力的!
警視らしからぬ長髪で、組織のしがらみをものともせず、人をくったような
言葉を放つ様子には、思わず元首相の小泉氏を思い浮かべてしまいました(爆)
もう少しお若かったら、映像化の折には、ぜひ彼に出演してもらいたいくらいですヾ(^o^;)コレコレ

最後の犯人逮捕のいきさつは、少々肩透かしの感もありますが、まさしく
息継ぐヒマなくページをめくり続けました。
この作品、風邪でダウン中に読んだんですが、病の不快症状が
ふっとんでしまうほど読み応えのある作品でした(^m^)


ーーーーーーー
柴田よしき

『激流』



【内容】
京都。修学旅行でグループ行動をしている、東京から来た
七名の中学三年生。知恩院に向かうバスで、その中の一人の
女生徒、小野寺冬葉が失踪し、消息を絶った。二十年後。
三十五歳となり、それぞれの毎日を懸命に生きるグループの
メンバーに、過去の亡霊が甦る。「わたしを憶えていますか?」
突然、送られてきた冬葉からのメール。運命に導かれて再会した
同級生たち。彼らに次々と降りかかる不可解な事件。冬葉は
生きているのか?そして、彼女の送るメッセージの意味とは...?
(「BOOK」データベースより)



思春期真っ只中だったクラスのメンバーが成長し、大人の世界
の中で抗い、流され、そして踏みとどまって懸命に生きる姿
・・・それぞれが抱えてきた20年間が、実にリアルに描かれて
て、とても楽しめました♪
謎が謎を呼ぶという構成も実にうまくて、グイグイとひきつけ
られるようにして読了~!

が欲を言えば・・・もうちょっと縮めて、シャープに描いても
よかったのでは?
それと、これはあくまでも私の好みの問題なんですが・・・・
私としては、桐野夏生さんのような、人間の闇の部分にズンズン
と踏み込んでいくようなタイプの作家さんが好み^^
少しアクがあるくらいの作品に惹かれてしまいます。

その点、柴田さんの作品は、人間に対する優しい目線が
溢れてるので、少々物足りなく感じてしまいました。
ナニサマ発言、スミマセンm(_ _)m



「水底の森」 



【あらすじ】
「もう森へなんか行かない」シャンソンがエンドレスで鳴り響くアパートの一室で
顔を潰された男の死体が発見された。部屋の借主である高見健児と風子の
夫婦は行方不明。翌々日、高見の絞殺死体が見つかるが、風子は依然姿を
消したまま。刑事・遠野要は、風子の過去を追ううちに、忘れ得ぬ出来事の
相手が風子であると気づき、烈しく風子を求め...。時間と距離を超え、繋がる謎。
愛とは何か、人間性とは何かを真摯に問い掛ける、長編ミステリ (「BOOK」データベースより)


文句なしの力作!
登場人物達の複雑に絡み合った様々な人生が交錯して、一筋縄では
いかず、先の読めない展開でした。
まさしくノンストップミステリと呼ぶに相応しい作品☆

幸薄く、複雑な人生を歩む風子と彼女を追う刑事遠野の関係は、
読んでいるうちに高村薫さんの『照柿』を思い出しました。
追われる女、追う刑事、という設定自体が似通ってるせいだろうけど、
業をもった哀しい女の生き様を執拗なまでに描き通してるところが、
かなり似てるかも~。

高村さんの作品は『マークスの山』を筆頭に『レディジョーカー』など
骨太の作品が多くて、大好きな作家さんです!
が・・・実は、この『照柿』だけは好きになれません!(^o^;
あまりに暗くて濃厚かつ粘着質なんだもん(きゃ~、高村さんファンの方、
スミマセン!!m(_ _)m)

そのてん、柴田さんの作品はサラサラとした透明感を感じます。
どんな数奇な運命・悲惨な結末を描いても、ドロドロ感が少ないのが魅力!
ただ、その淡白さがあるせいで「絶対に彼女の作品じゃなきゃダメ」
と強くのめり込むこともなく。。。。
上手い作家さんなんですが、どこか物足りない感あり。
あらら、またまた「なにさま?」発言だわ~(_ _(--;(_ _(--; ペコペコ



『夜夢』



【内容】
もうあなたは、あたしを絶対に裏切れない・・
夜の夢に託された9つの恐怖。
女性に圧倒的支持を受ける著者が描く、哀しみの恋愛ホラー
(amazonレビューより)

柴田さんは、この本が初読みでした。
とりあえず、お試し、という気持ちで読んだんですが・・
ホラーというほど怖くはありませんでした(笑)

お話自体が、とてもストレートで分かりやすく読みやすいため、
少々物足りない感が強いかも。ヾ(^o^;)
読後感も弱いのですが、一番印象に残ったのは「フェアリーリング」
話そのものは、いかにもありがちだけど「キノコの群生」という
イメージがとっても素敵~~☆
全体に、いかにも女性らしい感性を感じられて好印象でした。




-----------------------------
島村洋子

『壊れゆくひと』 

【内容】
どこにでもいる普通の人々、あたりまえの日常生活が私の
周りで少しずつズレていく。してもいないミスをあげつらう
"いい人"と評判の同僚。自分はアイドルの恋人だと言い張る
子持ちの友人。顔も思い出せないのに恋人だと手紙を送って
くる男。狂ってしまったのは私なのか。それとも周りの人々なのか。
現実と虚構の狭間から滲み出す狂気を描いたサイコ・ホラー。
(「BOOK」データベースより)



人はダレでも心の中に「コレだけは」と、こだわりを持つ領域が
あると思うけど、その領域をこの本では「花園」と表現してます。
なかなか、うまい表現と感心~!(゜∇゜ノノ"

その「花園」を踏み荒らされたと思い込んで過剰反応する「周り
では"いい人"と評判なのに主人公にだけは悪意を仕掛ける同僚」
↑このエピソードには深く深く頷いてしまいました!!

みなさんも、こういう経験したことありません?
私の場合、以前、子ど○会の役員をしたときに、このタイプの
人に遭遇~~☆
最初は典型的な「いい人」風に見えたのに、ちょっとしたこと
で手のひらを返したように悪意爆発~!
影に回って陰湿な悪口三昧をしていた、と知った時の驚きったら
なかったです(>.<)

それ以来、どんなに一見「いい人」風でも、とりあえず要注意(笑)
なにかアブナイものを秘めてないか?を、よく見極めて、地雷(?)
を踏まないように気をつけています(;^_^A

この本でも、日常よく見かける「ちょっとおかしな人」がオンパレード^^
ついつい「いるいる、そんな人」と笑いながらサクサク読み進めて
いったんですが・・・・・・・
いきなりヒラリと身をかわされるようなラストシーンにゾクリ~(>o<")

サイコ・ホラーというほど大げさなものではないけど、この捻りには
ちょっとヒヤリとさせられました


© Rakuten Group, Inc.