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カテゴリ:unclassified
で、最初は「そうかー」と、ちょっとした豆知識を得たくらいに思っていたのですが、時間がたつにつれて、この「掃除」ということが徐々に自分の中で気になってきた。 掃除って、ただの消極的な行為かと思っていたんだけど、どうもそうじゃないんじゃないか。だって、冬の寒い中、蔵人さんたちが水の冷たさにもめげず来る日も来る日も掃除をしてくださっているおかげで、あんなにうまい酒ができるんだもんなあ。。。取材を通して蔵人さんたちの顔を知ってしまっただけに、「掃除」に対するリスぺクトの度合いが徐々に高まってきたのです。 で、少しずつではありますが、時間があれば、ちょこちょこと掃除をしてみようかと思うことが増えてきた。朝、家を出る前に、時間があれば雑巾で床を拭いてみたり、長らく見て見ぬふりをしてきたゴミ箱の外側をごしごし拭いてみたり、風呂や台所の壁のタイルを重曹水でこすってみたり、冷蔵庫の棚を取り出して洗ってみたり・・・。そのうち、だんだんお掃除アイテムにも興味がわいてきて、といってもなるべくモノは持ちたくないので、使い古しのタオルを使って雑巾を縫ってみたり、お古の歯ブラシを使って手の届きにくいところをせっせと磨いてみたり・・・・ いやいや、完全にハマりました・・・ 掃除、めちゃくちゃ楽しいじゃん!! 正月に帰省したときも、時間をみつけては実家の風呂の壁や天井をキュッキュとこすり、台所のタイルの小さなシミをめざとくみつけては拭き拭き。母親は「悪いね~」なんて感謝してくれましたが、なんのなんの。単に好きでやってるだけなんですから! いやいや、人間変われば変わるもんです。しかも私、まもなくオン年47ですよ! こんな中年になって、長年身に染みついた生活習慣がこれほど変わってしまうとは・・・。われながら不思議です。やや釈然としない。 そんなある日、ポンと膝を打つような記事を見たのでした。 個人的に愛読しております「週末be」のフロントランナーに登場した、セレッソ大阪の清武弘嗣さんのインタビュー。若手最注目で、サッカーセンスの塊と言われているらしい清武選手は、昨年結婚してお子様も誕生したそうなのですが、「そんな家庭でどのように過ごしているのか」と聞かれ、以下のようにお答えに。 「家ではサッカーの話もせず、のんびりできています。独身のときは練習が終わって帰ると、毎日掃除していました。今でも、妻と一緒に掃除機をかけたり、ぞうきんがけをしたりしています。風呂に入るよりも掃除で元気になる。趣味、掃除っすね。長谷部誠さんが本にも書いていましたが。掃除をすると心が整うって。読んでいて、まったくその通りだと思いましたね」 そうか! 長谷部選手のベストセラー「心を整える」はまだ読んでいないのですが、そんなことが書いてあったのね。私、心を整えていたんだ! あの妙なハマリ感は、その快感だったんだ! なるほどなあ。そう考えてみれば、雑菌の排除という現実的な目標があるにせよ、来る日も来る日も余分なものをかたづけ、ぬぐい去っている蔵人さんたちの心は、たえず整えられているに違いありません。 静かにやるべきことをやる、そして結果を信じて待つ。それが酒造りであり、掃除であり、心を整えるってことなんですよね。きっと。いやいや、かっこいいじゃないですか!そんな人たちが生み出す日本酒だからこそ、ひとくち飲むたびに、なんだか心がシンとするのだなあと、しみじみといたしました。 若いころは「心が浮き立つこと」がシアワセなのだと思っていたのですが、最近、どうもそうじゃないんじゃないかと思い始めております。心が静かでいることが一番の快楽になってきた。心が静かできるためには、私を捨てなきゃいけない。損得から離れること。結果を求めず、気にせず、ただやるべきことを無心にすること。もちろん、これがなかなかできないんですけどね。つい「私」が前面に出てきちゃう。でもなんとか心を静めて「私」から離れることができたとき、ふしぎなことに、志の通じる人の輪が自然に広がっていくということにようやく気づき初めた今日このごろ。で、掃除ってまさに、結果を求めず、気にせず、ただやるべきことを無心にやるって行為じゃないでしょうか。そういう掃除を積み重ねて積み重ねてようやくできあがる日本酒が人の輪を広げていくのも、当然のことなのかもしれません。 ちなみに、酒造りをするときこれほど掃除ばっかりしているのは日本酒だけと聞いたことがあります。並行複発酵という世界に類をみない複雑で高度な発酵メカニズムを経てつくるお酒だからでしょうか。。。。そうか! どうりで飲んだときの心持ちが他の酒と違うはずだよ! まさに、「心を整える酒」だったのね。。。 そう考えると、日本酒も、掃除も、ますます好きになった私。今年も心して飲むぞ~! で、掃除するぞ! 余談ですが、とある蔵人さんに「そんなに掃除ばっかりしている蔵人さんの部屋って、やっぱりめちゃくちゃきれいなんですかね?」と尋ねたところ、「いやー、それが全然・・・逆に、仕事意外では掃除したくないッス。めちゃくちゃ汚いッス」とのこと。いやいや、それも人間的。ちょっとホッとしたのでした。 ( 終わり
)
稲垣 えみ子(いながき・えみこ)プロフィール
![]() 1987年に朝日新聞記者となり、社会部、週刊朝日編集部、大阪版編集長などを経て、2010年4月から地域ニュースディレクター。プライベートではヨガインストラクターの資格を持つ健康マニアで、生ゴミ堆肥によるベランダ菜園と、裏山(六甲山)登山が趣味。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.02.21 10:34:24
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