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2012.02.23
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カテゴリ:健康・病気



■【293回】 長い昼寝は、体に悪いか? [12/01/10]





■認知症の予防に何がいいのか? (その2)

ノンレム睡眠とレム睡眠について説明します。

眠りにつくと、まずノンレム睡眠が90分前後現れ、その後20~30分程度のレム睡眠となり、これが睡眠の1サイクルです。健常成人は、通常3~4サイクル連続して眠ります。

ノンレム睡眠では脳が休んでいます。レム睡眠では脳は活動しており、急速眼球運動を伴います。夢を見るのはこのレム睡眠の時です。

ところで、居眠りはノンレム睡眠です。短時間でも昼寝や居眠りをすると、頭がすっきりするのはノンレム睡眠によって脳が休めたからです。

熊本大学大学院生命科学研究部脳機能病態学分野の池田学教授は、「通常は、夢につられて行動を起こすことがないように、全身の筋肉の緊張が低下しています。マラソンをしている夢をみても、走り出すことがないのは、この仕組みが働いているからなのです。ところが、レム睡眠行動障害は、レム睡眠の時期に筋肉の緊張がうまくゆるまないため、睡眠中に寝言を言ったり、体をばたばたと動かしたりするのです。」と述べています(池田学:認知症. 中央公論新社発行, 東京, 2010, p114)。

皆さん、「金縛り」って経験されたことありますか? 心霊現象のように語られることもありますが、医学的には「睡眠麻痺」と呼ばれるものでレム睡眠中に起こる生理現象です。睡眠時の全身の脱力と意識の覚醒が同時に起こった状態です。すなわち、体の筋肉が弛緩し、脳は覚醒状態に近いレム睡眠中に「意識はあるのに体は動かせない」という状態が「金縛り」なのです。

レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies;DLB)の特徴の一つに、レム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder;RBD)があることをシリーズ第20回『幻視が特徴の認知症とは』においてご紹介しましたね。RBDは、夢内容(悪夢が多い)に興奮して、激しい寝言(奇声・大声)、手を振り上げる・脚で蹴る(壁などを叩いて手を怪我してしまったり、無意識の中で隣で寝ている配偶者を殴ってしまう)、周囲の状況が分からないまま立ち上がったり歩き出すといった行動障害です。RBDが、DLB発症の数年前から予兆として認められるケースがあることもご紹介しましたね。

私は学生時代にサッカーをしていたためか、今でも時折サッカーの夢を見ます。何と言っても最悪なのがシュートするシーンの夢ですね。シュートした途端に、寝室の壁を蹴ってしまいます。添い寝している愛犬を蹴ってしまったこともありました。それ以来我が家の愛犬は、冬になると掛け布団と掛け毛布の間に入って、私の脚を避けて眠るようになりました。

◇    ◇


皆さんもこんな経験をお持ちではないでしょうか。眠りの浅いときに目覚めると、一日スッキリと過ごせますよね。しかし、深い眠りのときに目覚まし時計などで無理やり起されると、起きる時もつらく、一日中頭がスッキリせず、体がだるい・眠いという状態が続くものですよね。

◇    ◇


2時間以上の長い昼寝は、アルツハイマー病発症の危険因子と報告されていますので、特に要注意です!

シエスタというスペイン語圏などでみられる生活習慣をご存じでしょうか。夜間睡眠4~6時間以外に2時間程度の昼寝を取る習慣です。長い昼寝が取れて羨ましいと感じる方も多いのではないでしょうか。ところが、シエスタの習慣がある人は、死亡危険率が高いことが知られています。1~2時間のシエスタ習慣のある男性は2.61倍、女性では5.57倍も死亡率が高くなることが報告されています。

4~5時間の短眠になると、昼間に耐えがたい眠気や倦怠感を感じ、明確な認知機能の低下とともに、気分の悪化、運動機能の低下などが起きてきます。しかしその一方で、睡眠時間が6時間以下でも自覚的には疲労感や眠気などを感じない人たちがいることも事実です。このような短眠群は、一見問題がなさそうにみえますが、本来感じるはずの短眠からくる耐えがたい眠気や倦怠感を、精神的な緊張でマスキングしている可能性が高く、緊張状態を長期間継続していると潜在的な軽躁状態となり、交感神経系の持続的な亢進によって心臓血管系の疾患を発症するリスクが高くなることが示唆されています(治療 Vol.93 296-297 2011)。

(つづく)














笠間 睦 (かさま・あつし)プロフィール




 1958年、三重県生まれ。藤田保健衛生大学医学部卒。振り出しは、脳神経外科医師。地元に戻って総合内科医を目指すも、脳ドックと関わっているうちに、認知症診療にどっぷりとはまり込んだ。名泉の誉れ高い榊原温泉の一角にある榊原白鳳病院(三重県津市)に勤務、診療情報部長を務める。認知症検診、病院初の外来カルテ開示、医療費の明細書解説パンフレット作成--こうした「全国初の業績」を3つ持つという。
 趣味はテニス。お酒も大好き。お笑い芸人の「突っ込み役」に挑戦したいといい、医療をテーマにしたお笑いで医療情報の公開を進められれば・・・と夢を膨らませる。もちろん、日々の診療でも、分かりやすく医療情報を提供していくことに取り組んでいる。









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最終更新日  2012.03.07 04:37:34
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