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2012.05.24
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カテゴリ:健康・病気



■【378回】 別名を「長命病」といわれる病とは? [12/04/14]





■体験から語る「医師が病気になったとき」 (その4)

では、五十肩っていったいどの程度の方が経験するのでしょうか。

群馬大学大学院医学系研究科整形外科学の山本敦史先生が五十肩の疫学について報告しており、有病率は1~10%程度、罹患側に関しては非利き腕側が多く、職業としては肉体労働者よりもデスクワーカーに多いことを紹介しております(山本敦史、高岸憲二:五十肩を理解する─五十肩の疫学. 関節外科 Vol.30 1210-1212 2011)。

なるほど、そう言えば私も、非利き腕側である左肩の五十肩ですね。それに前勤務病院においては、病院のすぐ近くに市営テニスコート(2時間200円/1人)があり週に5回程度プレーしておりましたが、最近ではめっきりプレー回数が減ってしまいアピタルの原稿書きに精力を注いでいる状況ですので、それも五十肩発症の大きな誘因となっているのかも知れませんね。

余談ですが、東京・大阪周辺の方に、テニスコートの利用料金が「2時間200円」であることをお話すると、価格が約10倍違うと言われます。

さらに山本敦史先生は、Handらが269例を平均4.4年経過観察したところ、59%は正常かそれに近い状態まで回復したものの、41%には何らかの症状が続いていたという報告をしていることも紹介しています。

五十肩は1~2年以内に自然治癒する予後良好な疾患であるというのが一般的な理解ですが、そうではないケースも多々あるようですね。

◇    ◇


続いて、獨協医科大学整形外科の玉井和哉教授が、五十肩の定義について触れており、「肩関節周囲炎」「凍結肩」「癒着性関節包炎」「五十肩」の4つがほぼ同義に使用されている現状を紹介しております(玉井和哉:五十肩を理解する─病態・診断. 関節外科 Vol.30 1214-1219 2011)。また五十肩と鑑別すべき疾患として、腱板断裂、頚椎症性神経根症などを挙げています。首の動きによって肩から上肢にかけて放散痛があるような場合には、頚椎由来の神経痛も疑う必要があります。頚椎症性神経根症については、ウェブサイト上でも分かりやすく解説されています。

五十肩は、古くは江戸時代の俗語集『俚諺集覧(りげんしゅうらん)、1797年』の中にも記述があり、「高齢となると、原因も無く腕や関節が痛むことがあるが、日がたつと自然に治ることがあり、これを五十腕または五十肩という、また別名を長命病とも呼ぶ」と解説されているそうです。

(つづく)














笠間 睦 (かさま・あつし)プロフィール




 1958年、三重県生まれ。藤田保健衛生大学医学部卒。振り出しは、脳神経外科医師。地元に戻って総合内科医を目指すも、脳ドックと関わっているうちに、認知症診療にどっぷりとはまり込んだ。名泉の誉れ高い榊原温泉の一角にある榊原白鳳病院(三重県津市)に勤務、診療情報部長を務める。認知症検診、病院初の外来カルテ開示、医療費の明細書解説パンフレット作成--こうした「全国初の業績」を3つ持つという。
 趣味はテニス。お酒も大好き。お笑い芸人の「突っ込み役」に挑戦したいといい、医療をテーマにしたお笑いで医療情報の公開を進められれば・・・と夢を膨らませる。もちろん、日々の診療でも、分かりやすく医療情報を提供していくことに取り組んでいる。









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最終更新日  2012.05.31 04:56:12
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