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カテゴリ:健康・病気
■言葉がなくても意思は通じる (その1) シリーズ第141回『デイサービスとデイケア』において、近赤外光脳計測装置の話題をご紹介しました。 近赤外光脳計測装置(近赤外光イメージング装置)は、近赤外線分光法(Near-infrared spectroscopy;NIRS)を応用して、脳の活動状態をリアルタイムにカラーマッピング表示することができ、取り扱いが簡単ということもあって近年注目を集めています。 脳の活動状態がリアルタイムにカラーマッピング表示される特長を活用して、ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)手段としても応用可能です。 2012年2月18日に放送されたNHK・EテレのTVシンポジウム「認知症ケアはここまできた」においては、2011年11月に相模原市民会館にて収録された認知症フォーラムの様子が伝えられました。 国立長寿医療センター包括診療部長の遠藤英俊先生は、近赤外光脳計測装置を用いた最近の研究から、昔話・小学校の思い出など、本人がしゃべりたくなる時には脳の活動状態が高まることをご紹介されました。 また、シリーズ第255回『赤ちゃんは、お母さんの顔に反応する』においては、赤ちゃんにおける「脳の発達」を脳科学的に解明しようとする研究も始まっていることをご紹介しました。 自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の柿木隆介教授(神経科学)らの研究グループは、生後7-8カ月の赤ちゃんが母親の顔を見ると右脳と左脳が活動し、母親以外の女性の顔を見る時には右脳しか活動しないことを報告しました。この研究においても、自然な状況のもとで赤ちゃんの脳活動を調べることができるNIRSが用いられたのです。 NIRSを使って、生後六カ月と七カ月の乳児の脳活動を調べた日本の研究もあります(Shimada S:Infant's Brain Responses to Live and Televised Action. NeuroImage Vol.32 930-939 2006)。この研究により、赤ん坊の脳の運動野は、女性が玩具をいじっているのを見ているときは活性化されていたが、玩具がひとりでに動いているのを見ているときには活性化されないという非常に有益な結果が得られました。 マルコ・イアコボーニはこの研究成果を評価し、「これは明らかに(それも強力に)、乳児の脳内でミラーニューロンがしっかり機能していることを示している。さらに、これらの運動野の活性化は、赤ん坊が画面を通して行動を見ているときよりも、生で見ているときのほうが高まっていた。これはミラーニューロン研究によく見られる典型的な結果である。サルが生で行動を観察しているときにはミラーニューロンに強い放電があるが、同じ場面をコンピューター画面で見るときには反応が実質的にゼロなのである。…(中略)…生後六カ月では、手が玩具をどこへ運ぶかを予測できない。生後1年になると、それができる。このことから、ミラーニューロンが学習によって他人の行動を予測できるようになるのは明らかだ。この能力は生まれたときには存在しない。これもまた、ミラーニューロンシステムが経験によって形成されている可能性を示すもう一つの例である。」と述べています(マルコ・イアコボーニ:ミラーニューロンの発見「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学 塩原通緒訳, 早川書房発行, 東京, 2011, pp196-199)。 (つづく)
笠間 睦 (かさま・あつし)プロフィール 1958年、三重県生まれ。藤田保健衛生大学医学部卒。振り出しは、脳神経外科医師。地元に戻って総合内科医を目指すも、脳ドックと関わっているうちに、認知症診療にどっぷりとはまり込んだ。名泉の誉れ高い榊原温泉の一角にある榊原白鳳病院(三重県津市)に勤務、診療情報部長を務める。認知症検診、病院初の外来カルテ開示、医療費の明細書解説パンフレット作成--こうした「全国初の業績」を3つ持つという。 趣味はテニス。お酒も大好き。お笑い芸人の「突っ込み役」に挑戦したいといい、医療をテーマにしたお笑いで医療情報の公開を進められれば・・・と夢を膨らませる。もちろん、日々の診療でも、分かりやすく医療情報を提供していくことに取り組んでいる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.06.04 05:04:03
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