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カテゴリ:DNAごころ
港と駅の間
狭い路地の奥の店だった 「ママさぁん お客さん連れてきたよ」 もう5次会だか6次会だかも分からなかった 鉄骨屋の隆ちゃんがしこたま酔っ払っちまって置いてくる訳にもいかず あやちゃんのお袋さんがやってるとゆうスナックになだれ込んだ 「3次会行こ行こ」 あやちゃんは地元出身のコンパニオン 昼間は機械部品のメーカーで経理をして夜はバイト 少し元気すぎるけどくりっとした目が愛嬌があって笑うと笑窪がでる お袋さんはその港町で芸者さんだったらしい 物心ついた時は祖母の家で暮らしていた 中学高校はバレーボールに青春をささげてた 親父さんの顔は知らない チークダンスの合間に聞いた彼女の身の上 その港町は25年ほど前オラがまだぷぅたろ~だった頃 友人の海の家を手伝いに行きそのまま春が来るまで一年ほど暮らした町だった 毎日海で泳いだり潜ったり岩場で焚き火をしながら朝まで話したり 寝転んで流れ星を数えたり 恋したり 一文無しになって東京に帰ってからは再び訪れることはなかった 「いらっしゃぁい」 あやちゃんのお袋さんがカウンターの向こうから答える その瞬間分かった 一度だけ送られてきた葉書に描かれた逆様のてるてるぼうず 「飲もうよchaboさ! だう!」 入り口で転びながら隆ちゃんが叫んでた バックグラウンドミュージック How Far by Stephen Stills 付記 ちょっとご無沙汰してました そんな間に日経平均一時1万円割れ だう! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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