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カテゴリ:せくしゅありて
記録的な暑さが続いていたなんて
もう誰もが忘れていた すっかり涼しくなった夜 ピンポン!ピンポン! 慌しくインターフォンがなる 続けてドアノブを回す音と扉を叩く音 「ママー!ママー!」 「はいはい 今開けるから」 「もう!遅いっ! 大変大変大変だったんだから!」 「どうしたの?一体? とにかく上がりなさい」 ソファにどさっと腰掛けると娘は一気にまくしたてる 「出たのよ!出たの! あの坂の下のポストのところ!」 「一体何が出たの?」 キッチンからカウンター越しに問いかける 「変態よ!変態!」 「まぁ!大変!大丈夫なのあなた?」 「大丈夫も何も下半身が南瓜の変態!」 「かぼちゃ?」 「そうよ ちょうどブルマーみたいに南瓜を履いてるの」 「え?」 「それで『王子ですが何かお役に立てますか?』って・・・」 薬缶が湯気を立て始めた 「ねぇ ママ? どうしたの?」 「あ! 何でもない」 「ママ 何か心当たりでもあるの?」 「まさか そんなことある訳ないでしょう でも・・・」 「でも?」 「いい 良く聞きなさい 女に生まれたからには一生に一度は 南瓜王子に追いかけられる だから大丈夫 もう大丈夫 さぁ ごはんにしましょう」 見上げた時計はもう8時を廻っていた バックグラウンドミュージック 恋一夜 by 工藤静香 付記 一山越えたら呆けちゃった まだあと一山あるのに お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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