戦う法務マン～企業法務実務の部屋

[企業法務雑感・日記] カテゴリの記事

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  「人間の安全保障」に関するシンポジウム

  友人の大学の先生に招待を受けて、「人間の安全保障のための平和構築～対テロ戦争をどう捉えるか？」というテーマのシンポジウムを聞きにいきました。シンポジウムは、駒場にある東大教養学部で行なわれました。時間が13:30からであり、かつ金曜日でもあったので、たまには直接仕事に関係ないけど、じっくり話を聞こうと思い、半休をとりました。駒場東大前の駅で降りるのは、実に久しぶり。実はその近所の都立駒場高校に通ってました。「安全保障」という言葉は、「国家」に対して使われる言葉であると思っていましたが（"National Security"というように）、「人間」そのものの安全保障、つまり、テロや戦争、紛争等で危機にさらされている人々をどう保護していくか、また、そうした危機が起きないようにするためにはどうしたらよいか、とことを考え、実際に何ができるか、ということを問題にするもの。「人間の安全保障」という概念を法律的にどのように構成し、それを実践していくのか、について考えるシンポジウムでした。興味深かったのは、テロと民族紛争の違い（あるいはその共通点）、およびなぜそうしたテロまたは民族紛争が起きるのか、ということの原因を探っていくと、そこには、将来に対する絶望がある、だから、各自が将来について希望をもてるような自由な選択権をもつことを確保できる社会、法制度が必要である、ということ。また、問題が発生するのは、「注意の欠如(Attention Deficit)」からくるのだ、ということが論じられたことでした。会場は思ったよりも参加者が多く、基調講演、パネルディスカッションの後の質疑応答も盛んでした。雨が降り、何となく湿っぽい一日ではありましたが、中身はかなり面白く、少し違って視点で世の中をもう少しみていこう、という気にさせるものでした。

  March 11, 2006

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• 検事がライブドア再建で助言

  今回は企業法務ではないけど、気になった記事についてコメントしてみました。検事がライブドア再建で助言現職の高等検察庁の検察官で、法科大学院でも教鞭をとる人が、ライブドア再建で助言をしたことに対して、法務大臣が不快感を示したというもの。法務大臣が不快感を示すのはともかく、検察庁内部で、本件がどう取り上げられたのか報道でははっきりしない。検察官の職務は法律に規定されており、また、国家公務員倫理法の枠内で、講演、執筆あるいは教育機関での教鞭をとることは問題ない。ただし、一私企業の経営再建に対して、コンプライアンスの観点からとはいえ、助言を与えることは、現在、元社長が取調べを受けているなかで、軽率であったとのそしりは免れない、というのが大方の見識であろう。どういうかたちでアドバイス（ライブドアから頼まれたのか、あるいは、自分から売り込んだのか）をするに至ったのか、また、アドバイスの内容が何であったのか詳細はわからないが、本来の検察官の職務を超える範疇の出来事といってよいだろう。法曹養成のため法科大学院で教えること自体も、当該、法科大学院が私営であることを考えると微妙と言わざるをえない。が、それはそれとして、検察官という職務を超えて動くことの意義をどう考えていたのだろうか？常識からすれば、疑われることはすぐ理解できることであり、それが理解できなかったということは、すでに検察官としての思考、意識、生き方から離れているといわざるを得ない。職を辞すれば、好きなだけ（検察批判も含めて）発言や活動ができる。例えば、会社組織であれば、こうした社員は厳重な注意を受けることになる。検察庁においても、しかるべき処分、注意がなされることを期待する。

  March 5, 2006

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• EvidenceとIndicagtor～「堀江メール」

  最近世間を騒がせている「堀江メール」問題。今回の「堀江メール」は、疑わしいという状況を示すものではあっても事実の存在を示す証拠とはなりません。なぜなら、そうした文書は、どうにでも作成できるからです。 不正の調査にあたり、不正の疑いのある事項(Allegation)について、いろいろな文書やe-mailのやりとりなどをみることがあります。ただし、本人が自分で受発信したものだ、と認めていない場合は、e-mailのやりとりは証拠(evidence)とはなりえない、と考えるほうが安全です。ただし、そうした事項があったことを示す一つの事象ということはでき、これをindicatorといいます。Indicatorはいくら積み上げても、「どうもそうらしい」という確信が高まるばかりで、法的な証拠とまではなかなか行きません。 検察がライブドアに立入り、PCを押さえたように、ある時点でおさえたそのままのものの中から出てきた、というものでない限り、証拠能力としては、まだまだ足りないと考えるべきです。 今回の騒動は、indicatorをevidenceと取り違えたか、あるいはindicatorだけでも相手（＝自民党）は十分動揺する、と思っていたのか不明ですが、新聞報道によれば、民主党で弁護士出身の議員は、更なる「証拠」を求めていたとのこと。相手を攻めるためには、状況証拠ではなく、確たる証拠(Hard Evidence/Concrete Evidence)で行なうべきであるとよい教訓が、今回の騒動によって、再確認されたと思います。

  February 27, 2006

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• 法適用通則法案

  日本経済新聞のインターネット版にネット取引等による国際トラブルについてどの国の法律を適用するのかについて「法適用通則法案」の制定について閣議決定がなされた旨の報道がありました。これは、100年以上前に制定された法例の規定を現代化し、さまざまな国際取引に伴うトラブル解決について法律上の規定を整備することを意味します。同法案は、164回通常国会に提出される予定です（法案等についての資料は、http://www.moj.go.jp/HOUAN/houan35.htmlを参照）。実は、法例は地味な法律ではありますが、国際取引法の分野では、非常に重要な法律です。しかし、現代化されていなかったため、あまりこの法律が正面から問題になることはありませんでした。企業実務にとっては、新会社法によるさまざな対応をどうするか、ということに汲々としている状況でしょうが、国際取引に携わる法務マンとしては、この法案の内容、動向については、十分に注意を払う必要がありそうです。

  February 22, 2006

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• 法務部の役割(01)

  2月9日にネット上のニュースで面白い記事がのっていた。日刊スポーツ　　ホリエモン製作協力の人生ゲーム出荷停止　タカラは９日、堀江容疑者らベンチャー起業家が製作に協力した、すごろく型のゲーム「人生ゲーム　Ｍ＆Ａ」を出荷停止にしたことを明らかにした。追加生産もしない。タカラは「社会的な影響の大きさを考慮した」としている。　このゲームは昨年９月に発売、１０万個を出荷するヒットとなった。プレーヤーは企業経営者としてテレビ局やプロ野球球団などの買収を繰り返し、自社の「企業価値」の拡大を競う。タカラは「経済問題をやさしく伝えようとしたゲームのテーマそのものは間違っていない」としているが、ゲームの箱の裏側に堀江容疑者の写真を刷り込んでいたことなどから、企業としてホリエモンとの「決別」を明確にした。［2006/2/10/07:53　紙面から］」そして、2月21日付朝日新聞夕刊で、タカラの社内でホリエモンが制作協力した「人生ゲームM&A」が発売自粛になるまで過程、特に社内で激論が戦わされた経緯が述べられている。その記事のなかで面白いのは、次の一節。（ライブドアに対する強制捜査が開始されたのち）"「早めに手を打たないと企業イメージにリスクがある」。法務部がそう進言し、広報部が情報収集を始めた。」"こうした進言を法務部が行なう、というのがユニークだ。主人も、企業法務の道に携わっているようだが、こうした進言を行なうことは、企業法務の機能のうち「戦略法務」の分野に入るのだそうだ。でも、これは、経営者の感覚、判断がもとになるべきじゃないだろうか？経営者が、自ら販売している商品について、周囲を取り巻く環境、自社に対する社会的な風評、株主等ステークホルダーに対する説明責任などに思いをめぐらし、社内関係部署に、検討を命じる、というのが本来ではないだろうか？たまたま、タカラの法務部がそうした役割を担っているといえば、それまでだけど。でも、人生ゲームだって、突然大金持ちになったり、落とし穴があって全財産を失ったりと、いわば世界の縮図だったはず。タカラが「M＆A」の試作品をライブドアに持ち込んで堀江前社長と対戦したそうだけど、あの時、自分がどうなるか「想定」できてなかったのか、「想定」していたけど、そのことは考えないようにしていたのか？たぶん後者じゃないかと思う。

  February 22, 2006

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• ドイツの弁護士事務所

  先日、見慣れない名前の事務所から封書がきました。何かの請求書？　と思い、封を切ると、長年の知り合いであるドイツ人弁護士（日本語堪能）から、事務所が変わったという案内。でも、住所をみると変更はない。レター（英文）をみると、彼が所属していた事務所は、近々解散するという。一体、どういうわけだろうを思い久しぶりに電話しました。彼の説明（日本語）によると、＊所属事務所（税務・会計・法律を総合的に提供する中　規模の事務所）が、クライアントより損害賠償請求を　受け提訴された。提訴金額は、こうした外部専門家事　務所に対する訴訟では過去最高金額。＊その後、クライアントの提訴理由はなかったことが　判明。訴訟はなくなったが、事務所の名前、評判には　大きなダメージが残った。＊事務所の主要パートナーが次々と分離独立を宣言。それで、既存事務所の名前を変更し、あらたに再出発となったとのこと。Enron事件では、大手会計事務所が解散に追いやられたことは記憶に新しいですが、ドイツの中規模事務所がそういったことが起ころうとは夢にも思いませんでした。欧州、しかも大陸の法律事務所は、英米系のBig Firmとの提携やアライアンスを組むことで生き残りを図ろうとした時期がありました。10年位前からですが、その動きもだいたいおさまったかな、と思っていたのですが、こうしたことが起こると、提携解消や新たな提携を模索しての動きが活発になるであろうと思います。これって、日本にあまり関係ない話だと思っていませんか？実は違うんです。その続きは、また後日。

  February 19, 2006

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• さて、どんなことを書いていこうか？

  このページでは、次のカテゴリで展開していく予定です。なお、企業法務「マン」となっていますが、これは、女性、男性、法律実務家、企業実務家を目指して勉強しておられる方々すべてを含みます。○企業法務マンとしての修行○企業法務マンとしてのマインド・常識○企業法務マンとしてのリサーチ○企業法務マンと小道具（文房具、手帳、ファイル、PC）○企業法務事例研究○企業法務雑感・日記様子をみながらカテゴリーのタイトルや内容を変えていくこともありえます。

  January 15, 2006

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