目に見えないものを理解するのが難しいといわれる自閉症の特性を持った息子。
「心」に気がついてもらうために、いろいろ工夫しています。
息子の夜寝るまでの一番のお楽しみは、「パソコン」です。
ノートパソコンは手の届かないところにしまってあって、
親の協力がなければ、始められないようにしてあります。
息子は、自分がパソコンで遊ぶ前にやらなければいけないこと
・風呂にはいる、
・<夏場なら必ず存在する皮膚のトラブルのため>薬を塗る、
・紙パンツをはく、
などがあることは、わかっていて、そそくさと準備をすることも多いです。
そこで、準備万端整え、息子が「さあ、パソコン」と迫ってきたところで、
大人が、布団の上に、どてっと寝転がり
「ああ、やる気がとんでっちゃった。やりたくない」
とだだをこねてみせるのです。
始めのころは、きょとんとしていた息子ですが、
何度かこれを繰り返すうちに、
「やる気ここにあったよ」と、空中でひょいと手を動かして、
親の口元まで「やる気」を持ってきて食べさせてくれます。
ここにいたるまでに、
「やる気はどこに飛んでったのかな?」
「海の方じゃない(我が家のベランダからは海が見える)」
「やる気は何色?」
「かあちゃんのやる気は黒。ぼくのは白だよ。A先生のやる気はピンク(若い女性だから?)」
とか
「やる気は、どこからでていっちゃったんだろう」
「口かな?鼻かな?おしりかな」
「やる気を食べたら、またやる気がでてくるかな。
食べてみようか、ぱくぱく」
なんて、遊びを何度か繰り返しました。
==
さて、息子が、どんな風に「やる気」を理解しているのか、垣間見るような
やりとりが今朝ありました。
来週から、仕事の関係で早起きしなくてはならないのですが、
(今は7時過ぎに起きてます)
今朝、
「来週から、6時20分に起きなきゃね。かあちゃん、早起きやだな。」
といっていたら、息子が、空中でひらひらと手をふって
それから、手をわたしの口にあて、
「やる気を食べさせてあげたから、もう大丈夫。起きられるよ」
といったのです。
ちょっとびっくり。
私は「起きるのがいや」とか、
ひょっとしたら「起きる気がしない」といったのかもしれませんが
「やる気」ということばは一切使っていなかったのです。
ということは、「やる気」というのは、人間の「意欲」のようなものであると
息子の中でつながりを感じ取っているということのように思えます。
工夫次第で、目に見えないものを息子に教える方法はありそうです。
少し明るい材料でした。