『にげだした魔女のほうき』
和製魔女が出てくるファンタジー。何も残らないけど、面白かった。まず、竹ぼうきが魔女の元から逃げ出し、次に黒猫が逃げ出す。逃げ出したのは、魔女の仕事(この世の悪意)に、うんざりしたから。こきつかわれるし。黒猫の名前が、「ブルータス」というところをみたとき、もしかして、「ブルータス、お前もか。」っていうフレーズを使いたかったんだな、って、思った。案の定、「おまえもか、ブルータス」と、さり気なく使ってあった。ひとつだけトリックが上手いなと思ったのは、女の子が竹ぼうきと黒猫をかくまっているのことを、カラスに口止めする。その口止め料が、女の子のキラキラ光るボタン。これを魔女が指輪にして指にはめて、学校の担任になりすます。「それ、私の。」といえば、かくまってるのは、その子ということになる。そういう罠を仕掛けたところ。『にげだした魔女のほうき』--------------------奇想天外なお話は、よっぽど凝ってないと面白くないなあ。それは私の子どもの頃からの好みの問題というだけ。-------------------『星に帰った少女』『ママの黄色い子象』もそうであったが、最後の方にいくにしたがって、”大人の視線の話”を、子どもの台詞の中に書き込んでいるような気がした。