それから、イエスは弟子たちと
ピリポ・カイザリヤの村々へ出かけられた。
その途中、イエスは弟子たちに尋ねて言われた。
「人々はわたしをだれだと言っていますか?」
彼らは答えて言った。
「バプテスマのヨハネだと言っています。
エリヤだと言う人も、
また預言者のひとりだと言う人もいます。」
するとイエスは、彼らに尋ねられた。
「では、あなた方は、わたしを誰だと言いますか。」
ペテロが答えてイエスに言った。
「あなたは、キリストです。」
するとイエスは、
自分のことを誰にも言わないようにと、
彼らを戒められた。
聖書(新改訳)マルコ:27~30
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「人々はわたしをだれだと言っていますか?」
この問いは、何も自分の評判を尋ねている訳ではない。
目的は、「では、あなたがたは?」というこの問いの答えに導くこと。
思えばイエスさまは、
弟子たちをみもとに置くことで、
この問いに答えられるように導いて来られた。
そしてペテロは答える。
「あなたは、キリストです!」と。
イエスさまはこの答えをずっと待っていた。
あなたはキリスト!
油注がれたもの、私の王さま!
私たちもこのように告白出来るだろうか。
ペテロが、エリヤだヨハネだという、
まわりの意見や雰囲気に惑わされないで、
キリストだと、告白したように。
今の時代のイエスさまに対する様々な意見、考え方に
惑わされることなく、
キリストだと、わたしの王だと告白出来るだろうか。
ただ何となくではない、
心で信じていればいいじゃないかとごまかすのでもない、
はっきりと口に出して、
私の王だと、告白出来るだろうか。
さて、ペテロがこう告白した場所は、ピリポ・カイザリヤ。
この地名からもわかるように、
ローマと関係の深いところ。
当時、ローマ皇帝は自らを神としていた。
そんな時代に「あなたはキリスト」だと、
告白することは、簡単なことではなかったはず。
日本にもそんな時代があった。
天皇を神としていた時代。
しかし、そのような中でも
信仰の告白をしてきたクリスチャンがいた。
キリスト教ラジオ放送で著名な羽鳥明氏の証し。
戦中、彼が学んでいた中学校に軍出身の先生がやってくる。
「この中で、耶蘇はいるか!」
すると、ひとりの少年が手を上げる。
「はい。私は天地万物を創造された真の神さまを信じております!」
彼は、そう堂々と答えたという。
その少年こそ、舟喜順一氏、
羽鳥少年は、後に彼に導かれて、
クリスチャンとなったのだ。
私はそんなに強くないと、
自分の信仰は不十分だと思うだろうか。
しかし、ペテロの信仰だって不十分だった。
まだ、十字架も復活も知らない。
あなたは王ですと告白しておきながら、
臆病になったり、裏切ったり。
イエスさまだって、それをご存じだった。
それでもイエスさまは、
この時のこの告白を受け止められた。
だから今日できる精一杯の告白をしていこう。
成長の途中でいい。
子どものような告白でもいい。
ペテロの告白を、
最後はちゃんとイエスさまが仕上げてくださったように、
イエスさまは私たちの告白をも、
内実のともなったものとして仕上げてくださるから。