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カテゴリ:ついつい批判的にみてしまう会社法
もともと、会社法は、会社に関わる人たちの利害を調整する法だという理解がされていたと思います。要するに、民法が、一般社会に関わる人たちの利害を調整する法であることの会社版にすぎないということ。で、あくまで調整者にすぎないから、会社を使って経済活動すれば儲けられるよ、なんてことは口が裂けてもいえなかったと。
けど、新会社法では、企業が儲けられる仕組みを積極的に取り入れることで、他の国に負けない会社作りができるようにしたと。 ところが、目を転じて会社法1条を見てみると、「会社の設立、組織、運営及び管理について」定めるなどと、何の味気もないことしか書いてありません。冒頭に目的規定を設けている他の法律が、何だか偉そうに(失礼)大がかりな目的を掲げていたりするのとは対照的すぎ。 そうすると、個別の規定を総合すると如何にも会社法の思想的背景がガラッと変わったようにも見えるけど、法の立場としては、法の趣旨まで変えたわけじゃないよ、ということなんでしょうか(むしろ後退しているような気が)。 あるいは、看板に偽りありってこと?建前としてはいかにも無色な立場を装いつつ、実は個別の規定で積極的になっているという構図でしょうか。 解釈論として、法の趣旨からある解釈を解き起こすことがありますが、たとえば、「従来は○○と解釈されていたが、会社法の背後にある思想がガラッと変わったんだから、××と解釈すべきである」という論法はつかえないんでしょうかね。会社法としてはあくまでも無色であって、その辺も解釈論に委ねちゃおうということですか。まあ、具体的にどういう論点に影響が出てくるのか分かりませんが、そういう問題があるとは思います。 以上、中村直人『新会社法-新しい会社法は何を考えているのか』第1章を読んでインスパイア(死語)されたことを書いてみました。私のいけてない文章ではいまいちだという方は、こちらの本をお読み下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年04月14日 21時19分37秒
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