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吟遊映人 【創作室 Y】

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2008.02.05
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カテゴリ:映画/コメディ
「(突然ブルース・ウィリスが入室して来て)赤ちゃんはまだ? ローマに? 休暇中だ。」
「(ジュリア・ロバーツになりきって)うれしいわ!」
「そのおなかで飛行機はよくない。ダニーは?」
「いるわ。」
「ダニー! 仕事か?」
「まぁ仕事ってことで。」

前作にも出演していたジュリア・ロバーツ。
「オーシャンズ12」では、彼女の本来の姿が冴え渡る。
「ああ、これこそがジュリアだよなぁ」と、つくづく納得。
そして、彼女の帰還を心から喜ぶ自分がいた。
「プリティ・ウーマン」の娼婦役で不動の人気を得たジュリアの特徴と言えば、とにかく声を上げて「ガハハ」と笑う屈託のなさと、多少抜けたところが垣間見える滑稽さであろう。
「ロマンティック・コメディにこの人あり」それこそがジュリア・ロバーツの代名詞たる所以なのだ。

前作では、オーシャンズがベネディクトの経営するカジノからまんまと大金を盗み出すことに成功したところで終わっている。
「オーシャンズ12」では、その後、各人が手に入れた金で自由気ままな生活を送っているもとに、ベネディクトが突如として現れ、1億6千万ドルの返却とその利子分を要求してくるところからストーリーは展開する。
ベネディクトは、要求に応じなければ命の保障はないと断言する。
オーシャンズは、ベネディクトの冷酷非情さを知っているため、その要求を呑むために再結成してオランダのアムステルダムを目指す。

この作品は前作を上回るおもしろさで、ドタバタ劇にアゴのはずれそうなほど笑える楽しさが満載である。
これほどエンターテインメントを追求した作品は、なかなかお目にかかれない。
ソダーバーグの世界観を肯定するも、否定するも、全ては感性の違いとしか言いようがない。
シュールレアリズムの大家、サルバドール・ダリも、ルネ・マグリットも、その難解で抽象的な世界観に顧客は完全に置き去りにされた。
だが時代は逆転し、デジタルの世界がそれを可能に変換させた。
そんなソダーバーグの作中に、時折見られる知性と憧憬の念。
ローマでは、グランドホテルプラザがロケ現場に。
名匠フェリーニ監督の「甘い生活」(ラ・ドルチェ・ヴィータ)を意識したに違いない。

2004年(米)、2005年(日)公開
【監督】ステーヴィン・ソダーバーグ
【出演】ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.02.05 20:43:45
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