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吟遊映人 【創作室 Y】

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2008.05.16
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カテゴリ:映画/ヒューマン
「それじゃ宇宙の大きさって?」
「無限だ。」
「なぜ分かるの?」
「データがある。」
「未証明よ。目でも確かめてない。」
「でも信じてる。」
「愛もそれと同じよ。」

一芸に秀でた人物というのは、とかく一風変わった人格の持ち主であることが多い。
だが全てにおいて完璧な人間などこの世に存在しないので、そういうアンバランスな側面を見てかえってホッとするのも事実だ。
この作品の主人公である天才数学者ナッシュも、実在の人物を基にした映画だが、かなり変わっている。
正に“天はニ物を与えず”とはこのことだ。

奨学生として優秀な成績でプリンストン大学の数学科に進学したナッシュは、ウィーラー研究所への就職を希望していた。
だがスランプ状態に陥っていたナッシュは、なかなか斬新で奇抜な論文を作成することができず、教授からウィーラー研究所への推薦状は書けないと断られてしまう。
そんな中、ルームメイトのチャーリーが必死でナッシュを勇気付け、励まし続ける。
その激励が功を奏し、ナッシュの論文が認められ、ウィーラー研究所への就職が内定する。
そこでの仕事はナッシュにとって退屈でつまらないものだったが、ある時、謎の人物、諜報員パーチャーにソ連の暗号解読を依頼される。
世界の危機を救うのだという使命感から、ナッシュは密かにスパイ活動を続けることを決意する。

この映画の注目すべきところは、やはりナッシュが統合失調症であることが発覚する前と後の経過がガラリと変化する点であろう。
彼を激励し、支えて来た人物だと(視聴者が勝手に)思い込んでいたルームメイトのチャーリーは、実はナッシュの中の幻覚だったのだ。
さらに政府の諜報員パーチャーも同様。
ナッシュが現実と幻覚の狭間で思い悩み、葛藤しているのと同時進行で、視聴者もある種のトリックに引っ掛かってしまったような、妙な感覚に襲われる。
この演出は、ストーリーをドラマチックに脚色する上で非常に効果的に成功していた。

主人公ナッシュ役を好演したラッセル・クロウは、素朴だがあたたかみのある人物が適役。
低音の紳士的な声が、女性ファンを魅了してやまない。
彼の魅力に逸早く気が付いてハリウッドに連れ出したのが、シャロン・ストーンだ。
そういう意味ではジャロン・ストーンの先見の明は侮れない。
プロデューサーとしての眼も肥えている女優なのだ。

2001年(米)、2002年(日)公開
【監督】ロン・ハワード
【出演】ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.05.16 06:54:32
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