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吟遊映人 【創作室 Y】

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2010.04.05
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「悪いが私は交渉相手に向いていないと思う」
「あんたと話したいんだ。今日の相場を見てくれ。NYの人質価格はいくらかな? 1人100万ドルじゃ面白みがない。(おい)電卓持ってるか?」
「ああ、手元にある」

いい味を出している悪役というのがある。
凶悪犯であるにもかかわらず、愛すべき悪役というものか。
例えば「羊たちの沈黙」で一躍有名になったレクター博士。
演じるのはアンソニー・ホプキンスであるが、敬意を表したくなるほどの優雅な振る舞いだ。
そのレクター博士とはまるで違ったキャラクターではあるが、妙に悪役らしい悪役にハマってしまった本作の犯人役ライダー。
演じるのはジョン・トラボルタ。
この人物、悪役をどう演じたら憎々しげに映るのか、あるいは徹底的に嫌われるのかを心得ているかのようである。
それほど熱のこもった演技なのだ。
彼の代表作に「サタデー・ナイト・フィーバー」などがあるが、80年代頃の出演作品は、一時、興行的に失敗し辛酸と苦杯を嘗めた時期もある。
そんな挫折を乗り越えた今日の演技を見ると、さすがに人間としての厚みや目を見張るような役者魂を感じないではいられない。

大都市ニューヨークの地下鉄で事件は起こった。
時刻は午後2時。
地下鉄運行司令部を担当するガーバーは、ペラム発1時23分の列車が突然停車したことに不審を抱く。
さらにその列車は一両を残し、他の車両は切り離されて進行方向とは反対に動き出す。

ガーバーは繰り返し無線連絡をすると、ペラム123は何者かによってジャックされたことが判明。
武装グループのリーダーらしきライダーと名乗る男が、ニューヨーク市民である19名の命と引き替えに、残り59分で1000万ドルを市長に用意させろと要求してくるのであった。

「サブウェイ123激突」は、70年代、80年代にも映画化され、本作は3度目のリメイク版とのこと。
前2作は残念ながら観たことがないが、人質の若者が所持していたノートパソコンから車内の様子が動画で配信されるシーンなどは、おそらく本作におけるオリジナルのものであろう。
地下鉄という動く密室の中で、万が一こんな犯罪に巻き込まれてしまったら・・・と、肝を冷やす思いである。
本作は正に、手に汗握る、スリリングで小気味良いテンポのあるサスペンス映画なのだ。

2009年公開
【監督】トニー・スコット
【出演】ジョン・トラボルタ、デンゼル・ワシントン

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2010.04.05 11:43:53
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