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テーマ:DVD映画鑑賞(13664)
カテゴリ:映画/ヒューマン
「(その曲は)何という曲ですか?」 「“神よアフリカに祝福を”だよ。とても士気を高める曲だ」 本作を手掛けたのはクリント・イーストウッド監督である。 往年のスターと言えども、ハリウッドでは既に長老格に当たる。 このクリント・イーストウッドという人は、60年代にイタリアの巨匠セルジオ・レオーネ監督との出会いにより、その才能を開花するのである。 いわゆる“マカロニ・ウェスタン”と呼ばれるイタリアで制作された西部劇で、代表作に「荒野の用心棒」や「夕陽のガンマン」などがある。 それらのレオーネ作品の大ヒットにより、本国より先にヨーロッパで一躍脚光を浴びることになったのだ。 その後、70年代になって本国アメリカにおいて、言わずと知れた「ダーティーハリー」シリーズで大ブレイクするわけだ。 余談はさておき、そのイーストウッド監督の素晴らしいところは、人が多角的に自己分析を遂げたプロセスをスクリーン中に垣間見せる点であろう。 それは格調高く、哲学的でさえある。 華やかさと娯楽性を主とした昨今のハリウッド映画では、なかなかお目にかかれない代物である。 本作「インビクタス」は、1993年にノーベル平和賞を受賞した人物でもあるネルソン・マンデラを主人公とする物語である。 マンデラについては、「マンデラの名もなき看守」などの優れた作品が過去に公開されており、世界史の教科書には載っていない人物伝を学習することが出来る。 本作「インビクタス」と併せてご覧いただければ、さらにマンデラ像を掘り下げていくことが可能であろう。 1994年、南アフリカ共和国では、黒人初の大統領が誕生した。 ネルソン・マンデラである。 マンデラは南ア代表のラグビーチームであるスプリングボクスを見て、あまりに弱小だったため、チームの主将であるフランソワ・ピナールをお茶に招く。 ラグビーはもともと上流階級の、とりわけ白人のスポーツとされて来たことから、黒人の間では非常に不人気な存在であった。 そこでマンデラは、このラグビーチームが「白人と黒人の和解と団結の象徴になる」ように、ピナールを鼓舞、そして激励するのだった。 ネルソン・マンデラに扮するのはハリウッドの重鎮、モーガン・フリーマンである。 この役者さんの知的で紳士的で、しかも内なる情熱が沸々と湧き上がるような演技は見事であった。 本作を鑑賞した吟遊映人の友人は、マッド・デイモンのこれまでとは違った重厚な演技に脱帽したと、べた褒めであった。 無論、吟遊映人も同感である。 ラグビーチームの主将たる貫禄を見せるための肉体改造も、並々ならぬ努力と、鍛え抜かれた役者魂の結晶であろう。 1995年のラグビーワールドカップ決勝戦は、南アが世界に向けて発信した自国の誇りであったに違いない。 その証拠に、ニュージーランド代表のオールブラックスは強豪チームであったが、見事な連携プレーで南アのスプリングボクスが勝利したのだ。 ノーサイドの笛が鳴った時、スタジアム中の、いや南ア中の観衆が一体となり、狂喜乱舞して自国を祝福する。 この模様は、ぜひともDVDにてご堪能いただきたい。 情熱的で活気ある南アの風に吹かれることだろう。 2009年(米)、2010年(日)公開 【監督】クリント・イーストウッド 【出演】モーガン・フリーマン、マッド・デイモン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.12.06 13:30:11
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