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テーマ:DVD映画鑑賞(14197)
カテゴリ:映画/サスペンス&スリラー
「悪者に追われてるのよ。守ってあげなきゃ・・・ハンナを見捨てるの?」 「違うよ・・・ハンナはベルリンのグリムの家に行くって。パパに会いに行くんだ」 カテゴリとしてはスリラー映画に属する作品だと思うが、雰囲気は実にファンタジックだ。 作中の会話にも出て来るが、グリム童話の世界観がそこかしこから漂っている。 本当は恐ろしくてたまらない童話だから、美少女キャラとは対照的に、陰惨で冷酷な人間の横顔がくっきりと映し出されている。 主人公は16歳の美少女だが、ジャンヌ・ダルクのような使命感に燃える女戦士というより、もっと人工的でドライに描かれている。 また、悪役として登場する女性CIA諜報員のマリッサは、童話のキャラに例えるなら間違いなく魔女である。 こういう設定からして、普通ならB級モノになりがちなのに、この『ハンナ』に関しては余りそういう野暮ったさは感じられなかった。 ひとえに、監督の高度な演出力にあるのだろうと推測する。 16歳の少女ハンナは、父エリックとフィンランドの森の中に2人きりで暮らしていた。 ハンナの狩猟の腕前は見事なもので、一矢で鹿を仕留めるほどだった。 また父親から、素手で身を守るための戦闘能力を叩き込まれ、その強さは少女の腕力を超越していた。 さらに、英語以外の語学にも堪能で、ドイツ語、スペイン語、アラビア語をマスターしていた。 人里離れた森の中で暮らすことから解放されたいハンナは、外界に出て行きたいと、父を説得するのだった。 もともとこの手のスリラー映画は大好きで、完璧な美の内に秘める猛毒を表現した世界観に、共鳴せずにはいられない。 胎児のころ遺伝子操作によって、人並み外れた戦闘能力を持ち、生きる人間兵器となったハンナの、思春期を経て森の外へと向かう自立心など、見事に表現されていた。 主人公ハンナ役に扮したシアーシャ・ローナンの、感情に淡白な演技は抜群で、細身の体が鋭い凶器となる時など、そのメリハリに驚愕した。 また、マリッサ役のケイト・ブランシェットは言うまでもなく、世にも恐ろしい女性悪役として周囲を威圧していた。 しかし、一番の功績は、この不思議な世界観を生み出した監督のジョー・ライトにあると思われる。 好きな人はもっと好きになるし、理解する作品ではなく、感じる作品だと思った。 2011年公開 【監督】ジョー・ライト 【出演】シアーシャ・ローナン、エリック・バナ、ケイト・ブランシェット また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。 See you next time !(^^) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.05.20 07:57:04
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