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2013.10.17
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カテゴリ:訃報
平成二十五年秋、やなせたかし氏逝く
20131017

「詩とファンタジー」創刊号と、やなせたかしさんの遺作となった最新号掲載の「天命」 。 産経ウェブから


アンパンマンの作者としてあまりに有名なやなせたかし氏が逝かれた。日本の子供で、そして子を持つ親でやなせ氏を知らぬものはいないはずだ。アンパンマンはそれほど深く我々に浸透していた。
やなせたかし氏御歳九十四歳、大往生というに相応しいものであろうが、アンパンマンに慣れ親しんだ我々にはその死が悔やまれる。

さみしくもやりきれない気持ちに陥った時、ウェブで『やなせさんの「遺言」掲載 責任編集の季刊誌発売』という記事を見た。
画像の詩を読み、やなせ氏の遺言である詩、遺詩に感動した。
以下が画像に掲載された全文である。


天命

見おぼえのある
絶望の岸
ここまで何度か
追いつめられ
助からないと思ったが
奇跡的に
九死に一生
なんとか
生きのびてきた
生きとしいけるものには
天命がある
もはや
無駄な抵抗はせぬ
ゼロの世界へ
消えていくでござる
拙者覚悟は
できているから
あせらず
しばらく
お待ちくだされ



欲も得もいっさいない。もはや清らかささえも超越した無の世界である。

『ゼロの世界へ消えていくでござる』

やなせ氏はそこへ旅立たれたのだ。

遺詩を何度も読み返すうち、やなせ氏への悼みは、やなせ氏への敬愛と喜びに変わっていった。
やなせ氏は生を全うした。だから『ゼロの世界へ消えていく』ことが出来るのだ。それはやなせ氏の確信であり、それこそがやなせ氏の最高の喜びであり、そして人生の目標であったと、私は信じて疑わない。
遺詩は伝える。人は全うに生きれば必ず『ゼロの世界』に到達できるのだと。
無上の喜びはそこにある。

いまだ欲得にまみれ日々きゅうきゅうとする我が身ではあるが、やなせ氏の『ゼロの世界』を信じ、やなせ氏がそうであったように生を全うするべく、私も励みたいと思うのであった。
やなせ氏に大感謝。そしてやなせ氏のご冥福を祈り衷心の合掌を捧げる。

なお、季刊誌「詩とファンタジー」24号は19日に発売されるそうだ。
子供時代にアンパンマンに慣れ親しみ、長じてやなせ氏の薫陶に気づいた方は、是非手にとってご一読いただいたいものである。
fuhougazou
   
20130124aisatsu





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最終更新日  2014.03.17 15:03:12
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