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カテゴリ:名文に酔う
昭和七年三月、山頭火は嬉野温泉にあそぶ。 そこは山頭火にとって結庵を望むほどの地であった。 ここにおちつき草萌ゆる(改作) そう日記に記す山頭火だが、実際のところ結庵はかなわずじまいであった。 その屈託と前途を胸に、山頭火は三月六日の日記にこう記し誓うのだ。 おこるな しやべるな むさぼるな ゆつくりあるけ しつかりあるけ なお前文には 「座右銘として」 と添えている。 ところで三月六日はご母堂の祥月命日。後年となる昭和十五年の同日の日記には 『仏前にかしこまつて、焼香諷経、母よ、不幸者をお赦しください。』 と記している。 山頭火にとって生きるとは、棘の道にほかならない、そういうことなのだろうか。 ゆつくりあるけ しつかりあるけ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.03.06 06:06:46
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