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2023.07.15
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カテゴリ:要約

第二十二回

※『山椒太夫・高瀬舟』(新潮文庫)では、全12篇が収められている。ここでは表題作の2篇を要約してみた。

◆山椒太夫(さんしょうだゆう)

昔、新潟県の春日から今津に向かう道を、母(30歳ぐらい)とその子ども2人(姉と弟)、そして女中(40歳ぐらい)が旅をしていた。主人がお役目で九州へ行ったきり帰らないため、様子をうかがいに訪ねるためだ。
日も暮れようとしていたので、主従4人が泊まれる宿を探してみたところ、土地の女が言うには宿屋は一軒もないと。しかもむやみに旅人を泊まらせるなと言う掟もあるのだとか。
と言うのも、悪い人買いが横行していて、お上が目を光らせているのだと言う。
仕方がないので主従4人は橋の下で野宿することにした。
そこへ船乗の山岡太夫と言う男が現れた。親切にも泊まる宿を用意し、芋粥などを食べさせてくれると言う。
母は喜びその親切な提案を受け入れるが、一人女中だけは不安な表情をしていた。
山岡太夫が言うには、西国まで陸を行くには、子どもの足では難しいという。その点、船なら問題はないとのこと。
結局、急かされるように太夫の言いなりで、主従4人は船路を選んだ。
ところが2人の子どもは宮崎方面の舟へ乗せられ、母と女中は佐渡方面の舟へ乗せられてしまった。
北へ漕ぐ舟と南へ漕ぐ舟が、あれよあれよと分かれていく。母は子の名を、子は母を呼ぶが、その距離は縮まらない。女中はその様子を見て船頭に交渉するが、それも叶わず、終いにはあきらめ、一人海に身を投じてしまった。
海に身を投じてしまった。
2人の子ども、安寿(姉娘)と厨子王(弟)は、山椒太夫と言う人買いのところに売られて来た。そして安寿には汐汲、厨子王には柴刈を命じられた。
過酷な労働の中、2人は身を寄せ合って過ごし、どうしたら良いものかと逃亡の方法を考えていた。
ところがそれを山椒太夫の息子に聞かれてしまい、罰として安寿と厨子王の額に十文字の焼きごてをあてられる。
その後、安寿は人が変わったようになり、ある日、それまでやっていた汐汲ではなく、厨子王と同じ柴刈に行かせて欲しいと願い出た。その願いは聞き入れてもらえたものの、女子が男の仕事をするのに髪の毛は不要だと、安寿の長い黒髪はバッサリと切られてしまう。
それまで何事かを思案してきた安寿だが、いよいよ実行に移すときがやって来た。2人して山に柴刈に行った際、意を決した安寿が、厨子王に逃げる方法を伝授した。
厨子王はあとに残る姉のことが心配でならない。だが安寿は、厨子王がまず先に逃げて父に連絡を取ってから自分のことを助けてくれるようにと言った。厨子王はその提案を聞き入れ、まず自分が先に逃げ延びることにしたのだ。
その後、厨子王は寺の和尚に匿われ、事なきを得た。さらに、安寿が入水したことも聞いた。
厨子王は姉から譲り受けた守本尊を肌身離さず持っていたおかげで、それが百済国から渡った高貴な地蔵菩薩の金像であることが知れ、由緒正しい家柄の嫡子であることが判明した。
大人になった厨子王は、正道と名乗った。父の正氏はすでに亡くなっていた。
正道は丹後の国守となり、まずは人身売買を禁じた。さらに山椒太夫に奴婢の解放と給与の支払いを命じた。
佐渡にいるはずの母の行方はなかなか知れなかったが、やっとの思いで見つけた。
母は盲人となっていたが、正道が近づくと、目が開いた。そして2人はひしと抱き合った。


◆高瀬舟(たかせぶね)

京都町奉行の同心は、罪人を高瀬舟に乗せて大阪まで護送していた。
罪人は喜助と言って、弟殺しの罪だと言う。
同心、羽田庄兵衞は、この喜助の様子が他の罪人とはだいぶ違っているので不思議に思った。
と言うのも、喜助がまるで鼻歌でも歌い出しそうなほどに、いかにも楽しそうだったからである。
庄兵衛はついに、役目を離れた対応とも思われるが、喜助のここまでに至った経緯やら身の上を問うた。
喜助が言うには、これまで骨を惜しまず働いて来たが、いつももらった金は右から左だったと。ところが罪を犯して牢に入ると、とくに働かなくとも食べさせてもらえ、しかも牢を出る時には二百文の銭をもらうことができ、何にも増して嬉しいことこの上もないと。
両親は喜助が幼い頃、流行病で亡くなってしまい、それからは弟と2人、身を寄せ合って生きて来た。
ところが弟は病気で働けなくなってしまった。弟は兄一人に働かせていつもすまないすまないと謝るばかり。
ある日、喜助が仕事から帰ると、弟は布団の上でのど笛を切って血だらけになっていた。
聞けば、弟は早く死んで少しでも兄に楽をさせたいと自殺を図ったところ、なかなか死にきれない。頼むから手を貸してこのまま逝かせて欲しいと。
喜助はしばらく逡巡したあと、弟の望むように、突き刺さったままの剃刀をのど笛から抜き取ってやることにした。
だが、こうすることで喜助は弟殺しと言う罪人になってしまったのである。
庄兵衛は、果たしてこれが人殺しになるのだろうかと腑に落ちなかったが、こればっかりはお上の判断に委ねるしか仕方がない。
2人を乗せた高瀬舟は、夜更けの黒い水面を滑っていった。
(了)


(了)


《過去の要約》
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◆第二十一回目の要約は、こちら


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最終更新日  2023.07.15 08:00:12
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