100年安心の公的年金制度!
「夫婦で2000万円の蓄えが必要」だとした金融庁金融審議会の報告書について,世間が賑わっているかのようだが...国民の多くはたぶん冷静なはずで, 騒いでるのは番組ネタが必要なメディアと政府・与党への攻撃材料を見つけた一部野党のみではないか。今回のレポートは,「公的年金だけで長い老後生活を送るのは難しいので,国民のみなさんも自助努力をお願いします」とその程度のもの。2000万円というのは,大金持ちから低所得者までいるなかで,その真ん中くらいで「夫とその被扶養者である妻」を一つのモデルケースとして挙げたということ。政府はこれまで「年金だけで100年安心ですよ」なんて言ったことはない。「制度自体は100年安心ですよ。そう設計され,そのための見直しや財源対策もきちんとやってますよ」とそういうことなのだ。“年金制度は破綻する”などと軽く口にする人がいる。しかし,そういう人は制度の中身をよく知らないのだ。いい加減なウワサを真に受けて,知ったかぶりして保険料を滞納する言い訳にしている場合がある。年金制度も含めて, 近未来の日本の社会保障環境を私はある程度楽観的にみている。というのも,団塊の世代といわれる今70歳前後の人たちが鬼籍に入りだす西暦2030年頃を境に,高齢者の人口は緩やかに減少へと向かうだろうと予測しているからだ。むしろ,心配なのは日本人の精神面。なにもかもがデジタル化し生活が簡便となるにつれ,人の知恵,思考力のほうはしだいに低下しつつあるように私には思われる。人間自体がデジタル化し,計算式やプログラムだけで動く機械のようにならないか,それが心配だ。人生100年時代の年金戦略 [ 田村 正之 ]