「選択的定期婚姻制度」
毎年恒例、テレ朝の元旦番組「朝まで生テレビ」。今年のテーマは「平成の総括と“新時代”」だったのだが、番組のなかで比較的討論時間が長かったのが「少子化問題」だった。政府はこの問題が社会的に顕在化して以来、一応“少子化担当大臣”を置いて「取り組みますよ」との姿勢を見せてはいるが、担当大臣はいずれも置物(私観)だし、これまで効果的で確かな施策を打ち出せていない。まあ、でもしかたがない。国民の多くはもうわかっているはずだが、少子化の原因は「子育てがしにくいから」などという単純なものではなく、もっと多くの社会的な要因が複雑に絡んだ難しい問題だからだ。その要因群中の大きなものに「未婚化・非婚化」がある。これを解決するための思いきった施策として、「選択的定期婚姻制度」を私は別サイトに掲載したことがある。さして注目されていないと思うが、わずかに支持してくれた人もいるのでこれを成人の日に提唱してみたい。それは、現行の永久婚(期限なし、離婚可能)のほかに、婚姻期間を限定した結婚制度を加えて、それを選択できるというものだ。これを選択した場合には、どのような事情・状況が生じても、原則として婚姻関係は10年で終了する(離婚となる)。ただし、婚姻期間中に子が生まれた場合には、その婚姻期間は子が成年に達するまで延長される(第二子以降もその都度延長)。ただし、婚姻態様がいずれの場合でも離婚の自由(協議・裁判)は妨げない。期間満了後はふたたび定期婚姻するか、永久婚を選ぶこともできる、と。最初の結婚一度きりで「死ぬまで一緒に生活できる相手に出会える」のは困難である。また、結婚によってお互いの人生を死ぬまで拘束するというのも、現代の価値観、生活スタイルに沿わないものと考える。時の経過とともに夫婦お互いの考え、価値観は変化するだろうし、不測の事態もいろいろ生じて、自分たちを取り巻く環境は必ず変化する。そうした未来の出来事をすべて包括して一生添い遂げよということに、私は無理があるのだと思う。それに、結婚に比べて離婚はかなり大変で、人生の消耗度が大きい。長い婚姻生活の後に突然相手から離婚を切り出されたら、本人は茫然自失で途方に暮れるだろう。それよりも、最初から期間限定での結婚を(オプションとしての)制度として認めて、これに法的効果を与える(ある意味、事実婚の法制化)ほうが合理的と私は考える。歴史的に形成された婚姻制度は、神がつくって人に与えた不磨の大典というわけではない。人類がヒトとしての活動をはじめ、集団生活を営み、そのなかで秩序維持のため必要となるルールが成り、さらに宗教的な戒律などに形成されながら自然法的なものとして確立してきたものだ。これが時代や人の価値観の変化とともに改変されることに、私は問題はないと考える。ただし、結婚を自分の人生において“ロマン”と捉えるなら、それを人生における輝かしい自分の作品としたいのなら、また話は別である。未来年表 人口減少危機論のウソ [ 高橋 洋一 ]